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    企業内容等開示制度の基本的考え方

    開示行政の理念(第Ⅰ部1-1-2)

    金融庁は、開示行政の理念として次の3点を基本に掲げています。

    1. 投資者保護と資本市場の公正性の確保
       企業内容等開示制度の目的は、投資者が発行体に関する適切な情報を入手し、自己の判断と責任において投資判断を行えるようにすることにあります。
       したがって、開示行政においては、発行体における「適時・適正・正確な情報提供」が最重要とされています。
    2. 発行体自らの説明責任(self responsibility)の尊重
       開示行政は、発行体による自主的な情報開示の取組を基本とし、行政当局はその適正性・透明性を確保する立場にあります。
       金融庁は、発行体が自らの判断に基づき、投資者に対して誤解を与えないよう説明責任を果たすことを重視しています。
    3. 市場の信頼性の維持
       投資者が安心して市場に参加できるよう、開示情報の質を確保することが求められます。
       虚偽記載や誤解を招く開示は、市場の信頼を損なう行為として厳しく是正されると明記されています。

    制度運用の基本姿勢(第Ⅰ部1-1-3)

    開示制度の運用にあたっては、以下の方針が明示されています。

    • 行政当局は、形式的な書面審査にとどまらず、実質的な情報の正確性・充実性を重視する。
    • 形式要件を満たしていても、投資判断に重要な影響を及ぼす情報が欠落している場合には、指導・修正の対象となる。
    • また、発行体の置かれた状況や業種特性を考慮し、画一的でなく実態に即した運用を行うことが求められる。

    開示書類の範囲と相互関係(第Ⅰ部1-1-4)

    企業内容等開示制度における開示書類には、以下のような種類があります。

    区分主な書類法的根拠
    定期開示有価証券報告書・四半期報告書・臨時報告書金融商品取引法第24条~第24条の5
    随時開示重要事実等に関する臨時報告書同法第24条の5第4項
    事前開示有価証券届出書・目論見書同法第4条・第5条

    金融庁は、これらを「有価証券報告書等制度」「有価証券届出書制度」に区分して運用し、
    定期開示と資金調達開示を相互に補完するものとしています。

    開示審査の目的(第Ⅰ部1-2-1)

    開示審査の目的は、「投資者が入手する情報の適正性・完全性を確保すること」にあります。
    そのため、金融庁・財務局は以下の観点で審査を行うとしています。

    • 事実関係・会計処理・開示記載の整合性
    • 表現や注記によって投資者が誤解するおそれがないか
    • 経営方針・事業リスク等について、重要な情報が欠落していないか

    また、審査は発行体の自己責任を前提とした適正な運用を重視する旨が繰り返し明記されています。

    訂正指導・事前相談の運用(第Ⅰ部1-2-4)

    開示書類に不備が認められた場合の取扱いは、次のように定められています。

    1. 軽微な不備の場合
       形式的な修正で足りるものは、指摘のうえ迅速に訂正を行うよう求める。
    2. 重要な虚偽記載や記載漏れの場合
       金融庁・財務局は訂正報告書の提出を求め、必要に応じて行政指導または処分を行う。
    3. 事前相談制度の活用
       発行体は、届出・報告書の提出前に、財務局との間で事前相談(pre-filing conference)を行うことができる。
       これにより、開示内容の妥当性や適正な記載範囲について、事前に確認が可能とされています。

    開示行政の透明性と継続的改善(第Ⅰ部1-3)

    金融庁は、開示行政の信頼性を維持するため、次の取組方針を明記しています。

    • 開示制度・ガイドラインを定期的に見直し、国際基準(IFRS等)や市場環境の変化に即応させる。
    • 投資者・発行体・監査法人・取引所等の意見を踏まえ、対話型行政を推進する。
    • 開示に関する事例集・質疑応答(Q&A)を随時公表し、実務上の予見可能性を高める。

    まとめ

    第Ⅰ部では、企業内容等開示制度の根幹として、

    • 投資者保護
    • 自主的開示責任
    • 市場の信頼性維持
      の3原則が繰り返し強調されています。

    この「理念編」は、以降の第Ⅱ部(開示審査実務)、第Ⅲ部(資金調達開示)、第Ⅳ部(SPC・投信開示)を貫く基礎的枠組みとして位置づけられます。