合同会社の資本金はいくらにすべきか?GKTKスキームにおけるSPC設計と資本金設定の実務
GKTKスキームにおいて、証券化の受け皿となるSPC(特別目的会社)として合同会社(GK)が利用されることは一般的ですが、
その際にしばしば議論になるのが、「GKの資本金はどの程度に設定すべきか?」という点です。
会社法上は1円でも設立できますが、証券化スキームとしての信頼性確保や分別管理の実務対応の観点からは、最低限の水準を意識した設計が必要です。
■ 法制度上、資本金に関する制限はない
- 会社法上、合同会社の資本金には最低額の制限はなく、1円でも設立可能
- 登録免許税は「資本金×0.7%(最低6万円)」のため、実務上資本金約86万円未満であれば定額6万円
- ただし、証券化スキームにおけるSPCとしての役割を考慮すると、形式的な最小限資本金では支障が生じることもある
■ GKTKスキームで資本金が問題になる理由
主な背景
- 分別管理の要請
- 投資家の出資金(TK資金)は、GKの固有資産とは厳格に区分管理する必要あり(金融商品取引法第40条の3)
- SPC自身の税務申告費用や登記費用など、匿名組合契約に直接関係しない支出はTK財産から支出できない
- よって、GKが自力で支出可能な資本金が求められる
- 倒産隔離体制の一環
- 資本金が極端に少額だと、SPCとしての信頼性や独立性に疑義が生じる
- 一般社団法人型SPC構造との連携時にも、最低限の資本的自立性が推奨される
- レンダー・AM・信託銀行等の審査対応
- 一部の金融機関は、資本金10万円未満のSPCには融資審査上のネガティブ印象を持つ場合あり
■ 実務上よく見られる資本金設定例
資本金額 | 概要 |
---|---|
10万円 | 最低限の信頼性を保ちつつ、コスト最適化を重視する構成。最も一般的 |
100万円〜200万円 | 税務申告・会計処理費用・ドキュメント保管・信託管理報酬などを資本金でペイする設計 |
500万円以上 | AMや信託受益権管理業務を内製化する等、高機能SPC構造を意図したスキーム設計で見られることもあるが少数派 |
実務上は、年間のSPC固有費用(税理士顧問料・登記費用・法定調書作成・印紙等)を3年分程度賄える資本金水準を設定するのがひとつの目安とされています。
■ まとめ
GKTKスキームにおける合同会社(GK)の資本金は、会社法上自由であるものの、
- 分別管理義務
- SPCの経済的自立性
- スキーム関係者の信頼性担保
という観点から、最低でも10万円程度、場合によっては100万〜200万円程度の設定が望ましいとされています。
資本金の過少設定は、TK財産の不適切使用や、第三者からの信頼性低下のリスクを引き起こしかねません。
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