パススルー課税
有限責任事業組合は、有限責任事業組合自体で法人税等の課税はされずに各組合員に分配された分配金に基づいて各組合員は各々申告納付をする形となります。。
有限責任事業組合は法人格を有せず、日本の税法上納税義務者ではありません。有限責任事業組合の所得は、その持分割合等により各組合員に所得分配されます。各組合員はその分配金額に基づいて確定申告をする必要があります。一般的にこの課税方式を「パススルー課税」と呼ばれます。
設立後、設立届出書提出の要否
上述のとおり、有限責任事業組合は、税法上の納税義務者とならないため、有限責任事業組合設立後、株式会社等の設立時に税務署に提出が必要な「法人設立届出書」を所轄税務署に提出する必要はありません。
しかしながら、有限責任事業組合が従業員を雇用する場合や、税理士への支払等の源泉所得税の納付が必要となる場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。
(給与支払事務所等の開設届出書のイメージ)
また、源泉所得税の納付は原則的に毎月の納付が必要であるのですが、給与支給対象人員が10人未満の場合は、「源泉所得税の納期の特例に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」を提出することで、納期を半年に1回にすることができます。
こちらの届出書も要件を見たす場合には提出する方が良いと考えます。
(源泉所得税の納期の特例に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書のイメージ)
有限責任事業組合の決算時
有限責任事業組合の決算時には、事業年度終了日から2か月以内に、貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書を有限責任事業組合全体及び各組合員別に作成する必要があります(有限責任事業組合契約に関する法律第31条)
(有限責任事業組合契約に関する法律第31条)
(財務諸表の備置き及び閲覧等)
第三十一条 組合員は、経済産業省令で定めるところにより、組合の成立後速やかに、組合の成立の日における組合の貸借対照表を作成しなければならない。
2 組合員は、毎事業年度経過後二月以内に、経済産業省令で定めるところにより、その事業年度の組合の貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
分配があった場合
また分配があった場合には、組合契約に定める計算期間の終了の日の属する年の翌年1月31日までに所轄税務署に「有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書(同合計表)」という法定調書を提出しなければなりません。
(有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書(同合計表)のイメージ)
まとめ
- 設立時には、「給与支払事務所等の開設届出書」と源泉所得税の納期の特例に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書を税務署に提出する方が良い
- 決算時には、貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書を有限責任事業組合全体及び各組合員別に作成する必要がある。
- 分配時には有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書(同合計表)を税務署に提出する必要がある。
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本日は、有限責任事業組合設立後の届出関係について解説しました。
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