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投資事業有限責任組合(LPS)は、「投資事業有限責任組合契約に関する法律」に基づいて規定されたファンド形態です。日本では、従来、株式投資ファンドとして任意組合が利用されてきました。任意組合には機動的にファンドを形成できるというメリットがある一方で、出資者が無限責任を負うため、借入を含むスキームには適用が難しいという課題がありました。
一方、投資事業有限責任組合(LPS)は、出資者が有限責任を負うことが可能であり、これによりリスクを限定した投資が可能となります。以下では、投資事業有限責任組合の主要な特徴をご紹介します。
1. 無限責任組合員と有限責任組合員
投資事業有限責任組合(LPS)の組合員は、次の2種類に分類されます(投資事業有限責任組合契約に関する法律第9条)。
・無限責任組合員:投資事業有限責任組合の債務に対して無限責任を負います。通常、運営主体や業務執行者が該当します。
・有限責任組合員:その出資額を限度として責任を負います。一般的に出資者が該当します。
2. 登記義務(法人格はなし)
投資事業有限責任組合(LPS)は、契約締結後、効力発生日から2週間以内に登記を行う必要があります(同法第17条)。
LPSは契約や財産の所有名義を「LPS名義」で行うことができますが、法的には法人格を持たず、「組合員の集合体」として扱われます。そのため、場合によっては法的主体性が制限されることがあり、組合契約の設計時に注意が必要です。
なお、この点は、任意組合や有限責任事業組合(LLP)と同様に、日本における法人格を持たない事業体の特徴です。
3. 会計監査の義務
投資事業有限責任組合(LPS)は、事業年度終了後3か月以内に以下の財務諸表を作成する義務があります(同法第8条1項)。
・貸借対照表
・損益計算書
・業務報告書およびその附属明細書
さらに、これらの財務諸表には公認会計士または監査法人による監査証明が必要です(同法第8条2項)。これにより、透明性の高い運営が求められます。
4. パススルー課税の適用
投資事業有限責任組合(LPS)は法人格を持たないため、課税対象とはなりません。その所得は出資比率に応じて各組合員に分配され、組合員がそれぞれの所得として確定申告を行います。この課税方式は「パススルー課税」と呼ばれ、二重課税を回避する仕組みとして多くの投資家に利用されています。
注意点
組合自体が納税できないため、所得が非課税になるわけではありません。各組合員が適切に申告・納税を行う必要があります。
当社のサポート
当社では、投資事業有限責任組合(LPS)の設立から運営まで、専門的な知識と豊富な経験を活かし、総合的にサポートを提供しております。投資事業有限責任組合(LPS)の設立や運営には、法律・会計・税務といった多方面での専門的な対応が求められますが、当社ではこれらをワンストップで支援する体制を整えています。具体的には、以下のサービスを提供いたします。
・設立手続き支援: 組合契約書の作成や法務局への登記手続きをサポートします。
・会計・税務サポート:投資事業有限責任組合(LPS)が求められる財務諸表や業務報告書の作成、公認会計士や監査法人による監査証明の取得については、必要に応じて、当社の提携専門家と連携し、適切なサポートをご提供いたします。
・税務申告の支援: 所得分配に基づく各組合員の税務申告についても、個別にご相談いただければ対応可能です。パススルー課税に関する専門知識を活かし、複雑な税務処理を適切にサポートいたします。
よくある質問
投資事業有限責任組合(LPS)の設立にはどのくらいの時間がかかりますか?
通常、LPSの設立には1~2か月程度かかります。この期間には、組合契約書の作成や必要書類の準備、法務局での登記手続きが含まれます。契約内容の調整や関係者とのスケジュール調整が必要な場合、さらに時間がかかることもあります。当社では、スムーズな設立手続きが進むよう、全面的にサポートいたします。
投資事業有限責任組合(LPS)と任意組合の違いは何ですか?
投資事業有限責任組合(LPS)と任意組合の主な違いは、出資者の責任範囲にあります。任意組合では全ての出資者が無限責任を負いますが、投資事業有限責任組合(LPS)では出資者(有限責任組合員)が出資額を限度に責任を負います。また、投資事業有限責任組合(LPS)は会計監査や登記が義務付けられており、透明性の高い運営が求められる点も異なります。
投資事業有限責任組合(LPS)を設立する際の主な費用はどのようなものですか?
投資事業有限責任組合(LPS)の設立にかかる主な費用は以下の通りです。
・組合契約書の作成費用
・登記費用(登録免許税など)20万程度
・会計監査費用(必要に応じて)
・その他、法務・税務に関連する専門家への報酬
費用は組合の規模や内容によって異なります。当社では、初回のご相談時にお見積りを提示し、明確な費用感をご提供いたします。
投資事業有限責任組合(LPS)はすべての事業に適用できますか?
投資事業有限責任組合(LPS)は、法律上、主に投資事業を目的とする組合形態として規定されています。そのため、事業内容が投資以外の場合、他の組織形態(例:合同会社や任意組合)が適している可能性があります。お客様の事業目的や投資戦略に応じて、最適なスキームを提案させていただきます。
投資事業有限責任組合(LPS)設立後、運営に必要な手続きは何ですか?
投資事業有限責任組合(LPS)設立後には、以下の手続きが必要となる場合があります。
・年次の財務諸表や業務報告書の作成
・公認会計士または監査法人による会計監査
・各組合員へのパススルー課税に基づく所得分配と税務申告
これらの運営要件に対応するため、専門的なサポートが必要です。当社では、設立後の運営支援も行っており、長期的にお客様の事業をサポートいたします。
お問い合わせ
経験豊富な専門家チームが、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションを提供し、安心して投資事業有限責任組合を活用いただけるよう支援いたします。
投資事業有限責任組合の導入をご検討の際は、ぜひ当社にご相談ください。
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