適格機関投資家等特例業務の要件を解説!LPSだけでは適格機関投資家になることは出来ない…?

2022/08/31適格機関投資家等特例業務

適格機関投資家等特例業務の要件を解説!LPSだけでは適格機関投資家になることは出来ない…?

第二種金融商品取引業の登録

有価証券の募集等には第二種金融商品取引業の登録が必要になります(金融商品取引法第28条2項、金融商品取引法第2条8項)。
第二種金融商品取引業の登録自体は数か月程度で可能ですが、その要件として金融取引業務に精通した社員が要件になる等、そのハードルは決して低くはありません。
したがって、原則的にファンド事業を行うためにも第二種金融商品取引業の登録は必要となり、時間及びコスト的に負担が重くなります。

第二種金融商品取引業の登録の例外

ここでファンド運営時に第二種金融商品取引業の登録の例外として、適格機関投資家等特例業務があります。

適格機関投資家等特例業務の要件

適格機関投資家等特例業務は、出資者数が49人以下であり、ファンドの出資者に適格機関投資家が含まれる場合に適用できます。当然ですが、適格機関投資家等特例業務の範囲を超えてファンド事業を行う場合は、募集にあたっては第二種金融商品取引業の登録が、運用にあたっては、投資運用業の登録が必要になります。

低コストでファンド設立が可能

適格機関投資家等特例業務は第二種金融商品取引業及び投資運用業の登録に比べて低コストでファンド設立が可能になります。
適格機関投資家特例業務は、あくまでも特例であるのでその要件が規定されています。主な要件としては、1名以上の適格機関投資家が存在すること、適格投資家以外の政令で定める出資者が49名以下であること、が主な要件になります。(金融商品取引法第六十三条)

(適格機関投資家等特例業務)
第六十三条 次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。
一 適格機関投資家等(適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(その数が政令で定める数以下の場合に限る。)及び適格機関投資家をいう。以下この条において同じ。)で次のいずれにも該当しない者を相手方として行う第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に係る私募(適格機関投資家等(次のいずれにも該当しないものに限る。)以外の者が当該権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものに限り、投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定めるものを除く。)
イ その発行する資産対応証券(資産の流動化に関する法律第二条第十一項に規定する資産対応証券をいう。)を適格機関投資家以外の者が取得している特定目的会社(同条第三項に規定する特定目的会社をいう。)
ロ 第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に対する投資事業に係る匿名組合契約(商法第五百三十五条に規定する匿名組合契約をいう。)で、適格機関投資家以外の者を匿名組合員とするものの営業者又は営業者になろうとする者
ハ イ又はロに掲げる者に準ずる者として内閣府令で定める者
二 第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利(同一の出資対象事業(同項第五号に規定する出資対象事業をいう。)に係る当該権利を有する者が適格機関投資家等(前号イからハまでのいずれにも該当しないものに限る。)のみであるものに限る。)を有する適格機関投資家等から出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)の運用を行う同条第八項第十五号に掲げる行為(投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定めるものを除く。)

金融商品取引法第六十三条

各要件の確認

ここで各要件を細かく見ていきたいと思います。

  • (1名以上の)適格機関投資家相手の私募であること

金融商品取引法第六十三条では、適格機関投資家等を「適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの及び適格機関投資家をいう。」と規定しています。したがって適格機関投資家の人数は1人以上であれば制限ありません。そして適格機関投資家は、金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令に規定されています。主な適格機関投資家は以下になります。

  • 第一種金融商品取引業者(証券会社)
  • 投資運用業者
  • 投資事業有限責任組合(LPS)
  • 法人(有価証券の残高が10億円以上)
  • 個人(有価証券の残高が10億円以上)

(適格機関投資家の範囲)
第十条 法第二条第三項第一号に規定する内閣府令で定める者は、次に掲げる者とする。ただし、第十五号に掲げる者以外の者については金融庁長官が指定する者を除き、同号に掲げる者については金融庁長官が指定する者に限る。
一 金融商品取引業者(第一種金融商品取引業(有価証券関連業に該当するものに限り、法第二十九条の四の二第十項に規定する第一種少額電子募集取扱業務のみを行うものを除く。)又は投資運用業を行う者に限る。)
十八 投資事業有限責任組合契約に関する法律第二条第二項に規定する投資事業有限責任組合
二十三 次に掲げる要件のいずれかに該当するものとして金融庁長官に届出を行った法人(存続厚生年金基金を除き、ロに該当するものとして届出を行った法人にあっては、業務執行組合員等(組合契約を締結して組合の業務の執行を委任された組合員、匿名組合契約を締結した営業者若しくは有限責任事業組合契約を締結して組合の重要な業務の執行の決定に関与し、かつ、当該業務を自ら執行する組合員又は外国の法令に基づくこれらに類する者をいう。ロ及び第二十四号において同じ。)として取引を行う場合に限る。)
イ 当該届出を行おうとする日の直近の日(以下この条において「直近日」という。)における当該法人が保有する有価証券の残高が十億円以上であること。
ロ 当該法人が業務執行組合員等であって、次に掲げる全ての要件に該当すること(イに該当する場合を除く。)。
(1) 直近日における当該組合契約、匿名組合契約若しくは有限責任事業組合契約又は外国の法令に基づくこれらに類する契約に係る出資対象事業により業務執行組合員等として当該法人が保有する有価証券の残高が十億円以上であること。
(2) 当該法人が当該届出を行うことについて、当該組合契約に係る組合の他の全ての組合員、当該匿名組合契約に係る出資対象事業に基づく権利を有する他の全ての匿名組合契約に係る匿名組合員若しくは当該有限責任事業組合契約に係る組合の他の全ての組合員又は外国の法令に基づくこれらに類する契約に係る全ての組合員その他の者の同意を得ていること。

金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第10条第1,18,23,24項

LPSだけでは適格機関投資家となれない?

業務実施にあたり適格機関投資家が必要となる

適格機関投資家等特例業務の実施に当たって、適格機関投資家が必要になりますが、上記の適格機関投資家の中で投資事業有限責任組合を入れようと考えるかもしれません。
投資事業有限責任組合は適格機関投資家になります。金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第10条第18項でも以下のように規定されています。

十八 投資事業有限責任組合契約に関する法律第二条第二項に規定する投資事業有限責
任組合

しかし投資事業有限責任組合だけでは、適格機関投資家等特例業務に必要とする適格機関投資家にはなれません。
適格機関投資家等特例業務は金融商品取引法第六十三条第1項で次のように投資家保護に支障を生ずる恐れがあるものを除くとしています。

適格機関投資家等(次のいずれにも該当しないものに限る。)以外の者が当該権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものに限り、投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定めるものを除く。

LPSの運用金額5億円以上必要

そして金融商品取引業等に関する内閣府令第二百三十四条の二では、投資事業有限責任組合(LPS)は運用金額が5億円上ないと、「投資家の保護に支障を生ずるおそれがあるもの」として、適格機関投資家等特例業務の適格機関投資家の要件には該当しないとしています。
したがって、適格機関投資家等特例業務の適格機関投資家として投資事業有限責任組合を使用する場合には、その運用額(5億円以上)の要件も確認する必要があります。

(投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるもの)
第二百三十四条の二 法第六十三条第一項第一号に規定する投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定めるものは、出資対象事業持分に係る私募のうち、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するものとする。
一 当該権利を有することとなる適格機関投資家の全てが投資事業有限責任組合(投資事業有限責任組合契約に関する法律第二条第二項に規定する投資事業有限責任組合をいい、取引の状況その他の事情から合理的に判断して、投資事業有限責任組合契約に基づき当該投資事業有限責任組合契約の相手方のために運用を行う金銭その他の財産の総額から借入金の額を控除した金額が五億円以上であると見込まれるものを除く。次項第一号において同じ。)であること。

金融商品取引業等に関する内閣府令第二百三十四条の二

まとめ

本日は、適格機関投資家等特例業務の適格機関投資家に関する解説をしました。適格機関投資家等特例業務における適格機関投資家の主な要件は下記になります。

  • 適格機関投資家は1人以上必要
  • 主な適格機関投資家は、第一種金融商品取引業者(証券会社)、投資運用業者、投資事業有限責任組合(LPS)、法人(有価証券の残高が10億円以上)、個人(有価証券の残高が10億円以上)
  • 投資事業有限責任組合は運用額が5億円ないと適格機関投資家等特例業務では適格機関投資家として取り扱われない。

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