投資ファンドとは
投資ファンドとは、多くの人々からお金を集めて、そのお金をプロのマネージャーが株や債券などに投資する仕組みのことです。この仕組みを法的に成立させるためには、登記が必要です。
日本では、金融商品取引法に基づいて、ファンドの持分は有価証券とされ、規制されています。
以下は、その規制対象となるもの、またはならないものの解説です。
対象となるのは、出資者から集められたお金や資産を使って事業を行い、その利益を分配する権利のことです。ただし、以下の例外があります。
一般の有価証券:株式など、通常の有価証券はこのカテゴリには入りません。
事業参加型の出資:出資者全員が事業に直接関わる場合の権利。
出資額以上の受け取り禁止:出資額を超えた利益の分配がない権利。
特定契約に基づく権利:保険契約や共済契約、不動産共同事業などの権利。
特定法人への出資:一部の法人への出資に関連する権利。
特別法の契約権利:一部の特別法の契約に基づく権利。
専門職組合の権利:一部の専門職のみを対象とした組合契約。
持株会の権利。
従業員による株買取契約:関係会社の従業員が共同で株を購入する契約。
投資法人関係者の投資契約:特定の役員や従業員が投資証券を買う契約。
コンテンツ事業共同契約:特定の団体間でコンテンツ事業を共同で行う契約。
これらの条件が、ファンドの持分が金融商品取引法の規制対象になるかどうかを決定します。規制は、投資者の保護と市場の健全な運営を目的としています。
投資ファンドの登記とは
投資ファンドを始めるには、政府や関連機関に登録する手続きが必要です。これが「登記」と呼ばれる部分で、法律に基づいて行われます。
なぜ登記が必要か
登記をする理由は、投資ファンドが透明で安全な運営が行われるようにするためです。登記を通じて、投資ファンドが法律に沿った方法で運営されているかを確認することができます。
登記のプロセス
登記のプロセスは、投資ファンドを正式に運営するために必要な手続きで、以下のステップで構成されます。
申請書類の準備:必要な書類を用意し、所定の情報を記入します。
審査:関連機関が提出された書類を精査し、規則に従っているか確認します。
登録:問題がなければ、投資ファンドは公式に登録されます。
登録に際しては、以下の点に注意が必要です。
一般投資家を対象とする場合:
基本的に、資金の募集や運用を行う業者は、財務局などの関連機関に正式な登録が必要です。
特定の投資家対象の場合:
出資者が全て専門の投資家であるか、あるいは特定の条件を満たす投資家で構成される場合は、特例業務の届出だけで済むことがあります。
海外のプロ投資家を対象とする場合:
主に海外の専門投資家を対象とした場合や、特定の海外資格を有する業者は、特例業務の届出で登録が免除されることがあります。
特定の例外:一部の業務、例えば特定の契約に基づく投資や特定の対象物への投資などは、特例により登録や届出が免除される場合があります。
これらの手続きは、投資家の保護や市場の透明性を確保するために重要であり、登録・届出の義務や条件は、業者のタイプや対象とする投資家の属性に応じて異なることがあります。正確な手続きを行うためには、各ケースの具体的な状況に合わせた対応が求められるでしょう。
投資ファンドの規制
金融商品取引法では、金融商品取引業者へ、以下のような規制が課されています。
1.金融商品取引業者として登録を申請する際に、特定の基準を満たさない場合には、登録が拒否されることがあります。以下は、その主な登録拒否の要件です。
過去の違反行為:過去5年以内に金融商品取引業の登録が取り消されたり、特例業務の廃止命令を受けたりした者。また、同様の外国の法令に違反した場合も含みます。
処分等に関連する行為:金融商品取引業の登録取り消しや特例業務廃止に関連する処分の通知があった後、自ら業務廃止等の届出を行い、その届出から5年を経過していない者。
法令違反による罰金:金融関連法令やそれに相当する外国の法令に違反し、罰金などの刑罰が科され、その刑罰が終了してから5年を経過していない者。
公益に反する事業:その他の事業が公益に反すると認められる場合。
人員の不足:金融商品取引業務を適切に行うための十分な人員がいない場合。
体制の不備:金融商品取引業務を適切に遂行するための体制が整っていないと認められる場合。
これらの要件は、金融商品取引法で詳細に定められており、登録を希望する者がこれらの要件に該当する場合、登録が拒否される可能性があります。したがって、登録申請前にこれらの要件を慎重に確認し、適切な準備を行う必要があります。
2. もし法人が金融商品取引業者として登録を希望する場合、その役員や特定の使用人が以下のような要件に該当する場合、登録が拒否される可能性があります。
精神的障害:金融業務を適切に行う認知や判断能力が制限されている者。
破産状態:破産手続きを受けており、権利が回復していない者。
重い刑罰:禁錮刑などの刑罰を受け、刑の執行が終了してから5年未満の者。
過去の登録取り消し関連:過去の登録取り消しや特例業務廃止命令に関連して、5年以内に関与していた法人の役員である者。
個人としての登録取り消し経験:個人としての登録取り消しや特例業務廃止命令があった場合、その後5年以内の者。
登録取り消し処分に関連する届出:登録取り消しや特例業務廃止の処分通知後に関連届出を行った法人の役員で、その後5年以内の者。
個人破産者:前述の破産状態に該当する個人。
解任・解職命令の受けた役員:解任や解職を命じられた役員で、その後5年以内の者。
法令違反と罰金刑:金融法令や暴力団員による不当行為防止法などに違反し、罰金などの刑罰を受け、その後5年以内の者。
これらの要件は、法人が金融商品取引業者としての登録を進める上で注意すべき点です。企業の健全な運営と社会的信頼の維持のため、これらの要件を遵守し、適切な対応を行う必要があります。
3.個人の場合
個人の場合、特定の状況や問題に該当する人物や使用人がいる場合。
4.第二種金融商品取引業または投資運用業の場合
この業務を始めようとする場合、以下の要件が必要です。
資本金:第二種金融商品取引業は1,000万円以上、投資運用業は5,000万円以上。
国内事務所:国内にオフィスを持っていない人は不適格。
代表者の位置付け:外国法人は国内代表者が必要。
協会の加入:協会への加入が必須で、または同等の規則と体制が必要。
5.投資運用業の場合
投資運用業を始める際、以下の要件を満たさなければなりません。
法人の形態:特定の株式会社または同様の外国法人でなければなりません。
資産の額:純資産額が5,000万円以上。
その他の事業:関連する他の事業がなく、投資者保護に問題がないこと。
主要株主:特定の状態や問題に該当する個人株主や法人株主がいないこと。
外国法人の要件:主要な株主が適切な運営に支障を及ぼさないことの確認が必要です。
金融業界の主要なルール
金融商品取引業者は、以下の主な規制に従う必要があります。
1. 顧客への公正な取引
業者は顧客に対して誠実かつ公正に行動しなければなりません。
2. 不正な名義貸しの禁止
名義貸しと呼ばれる不正な行為は禁止されています。
3. 広告に関するルール
金融商品を宣伝する際には、会社名や登録番号、費用、リスクなど、特定の情報を明記する必要があります。また、協会への加入情報も表示する必要があります。
4. 契約前の文書の提供
契約を結ぶ前に、業者は顧客に対して、会社情報、契約内容、手数料、リスク、税金、終了条件などの詳細を含む書面を提供しなければなりません。さらに、苦情処理方法や投資ファンドに関する情報など、関連する全ての詳細も含める必要があります。外国のファンドの場合、特定の追加情報も提供する必要があります。
5. 契約時の文書の提供
金融業者は、取引契約が成立した際に、詳細を含む書類をすぐに渡さなければなりません。この書類には、会社名、連絡先、契約の概要、手数料、お客様の情報、取引の詳細などが含まれます。
6. 禁止される行為
金融業者には以下のような行為が禁止されています:
・虚偽情報の提供や誤解を招く行為。
・不確かな事柄に対して確実な判断を強要する行為。
・顧客の理解を確保せずに契約を締結する行為。
・虚偽の表示や誤解を引き起こす表示の使用。
・特別な利益の提供。
・契約の成立や解約に際しての不正な手段の使用。
・債務履行の不当な拒否や遅延。
・顧客の損失を補填する、または利益を追加する行為。
・不適切な勧誘を行う行為。
・ファンドの管理が不適切な場合の募集など。
・金銭が事業に充てられていないことを知りながらの募集。
・適切でない投資運用の実施。
・正当な理由なく、自己利益を図る投資運用。
7. 投資運用業の義務
投資運用業者は、忠誠、注意、適切な管理、報告書の提供など、いくつかの重要な義務を果たさなければなりません。これらの義務は、顧客の利益を保護し、信頼性と透明性を高めるために存在します。
これらのルールは、業者と顧客の関係を健全に保ち、市場の透明性と信頼性を高めるために設定されています。 これらの規制は、投資ファンドが安全に運営され、投資者の利益が守られるように設計されています。規制があるおかげで、投資者は投資ファンドに対して信頼を寄せ、安心して投資することができるのです。
まとめ
登記の必要性と透明性: 投資ファンドは、適切な登記と認可を受ける必要があります。これにより、投資ファンドが法的な枠組みと基準に従って運営されていることを保証します。登記プロセスは投資者保護の一環として機能し、透明性と信頼性を高める役割を果たします。
適切な運用と禁止行為: 投資ファンドの運用には特定の義務と禁止される行為が明確に定められています。虚偽の情報提供、不正な取引、顧客の利益を害する条件での取引など、一連の禁止行為が規定されており、これらのルールは投資者の保護と市場の健全な機能を促進します。
投資運用業の義務: 投資運用業者は、投資者に対して忠実義務、善管注意義務などの法的な責任を負います。これにより、投資者の利益が最優先され、投資ファンドが適切に管理されることが保証されます。また、運用報告書の定期的な交付など、透明性を確保する措置も重要な部分です。
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