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            なぜ信託受益権を使うのか?不動産証券化における信託活用の理由とその実務的メリット

            GK-TKスキームを用いた不動産証券化では、実務上、多くのケースで「現物不動産」ではなく「信託受益権」が投資対象とされています。
            本稿では、信託受益権が選ばれる理由、制度的な背景、税務・登記・流動性の各観点からのメリットを解説します。

            ■ 不動産を信託化するとはどういうことか?

            不動産を信託銀行等に信託することで、その不動産を間接的に所有する権利=信託受益権が発行されます。
            この信託受益権は、「みなし有価証券」として法的に位置づけられ、不動産の直接売買ではなく、信託受益権の売買という形式で投資対象とされるのが、GK-TKスキームの実務です。

            ■ 信託受益権を用いる主なメリット

            ① 登記・コスト面での効率性

            • 不動産を現物でSPCに移転すると、不動産取得税・登録免許税がかかる
            • 一方、信託化しておけば、不動産登記を何度も動かす必要がない
            • 投資家の出入り、ファンドの終了・再編も信託受益権の売買で済む

            ➤ 特に大型物件や複数の不動産を扱うファンドでは、信託受益権の売買により、構成変更の柔軟性と税コストの低減が図られます。

            ② 資産管理・倒産隔離の容易さ

            • 信託財産は、受託者の固有財産と法律上分離管理される
            • 信託口に設定することで、倒産リスクの低減や債権者からの差押回避が可能

            ➤ GKが倒産しても、信託契約に基づく受益権は別管理されるため、投資家保護に資する設計が可能です。

            ③ 受益権の分割性と流動性

            • 信託受益権は、持分として分割しやすく、譲渡も比較的自由
            • 証券化対象としての流通性が高いため、レンダーや他のファンドへの売却にも適する

            ➤ 将来的なノンリコースローンの組成や、クラウドファンディング形式の活用にも親和性があります。

            ④ 投資運用業・第二種金商との適法連携

            • 信託受益権を主な運用対象とする場合、「不動産関連特定投資運用業」に該当するため、運用の合法性が確保される
            • 自己運用ではなく外部AM(投資運用業者)をアレンジする前提で、法令遵守体制が構築しやすい

            ■ 実務上の構造例(図解あり想定)

            1. 不動産オーナー → 信託銀行に信託
            2. 信託銀行 → 受益権発行 → GKが受益権を取得
            3. 投資家 → TK契約を通じてGKに出資
            4. GK → 信託不動産の収益を原資に、TK出資者へ分配

            ■ まとめ

            GK-TKスキームにおいて、信託受益権を活用することは、単なる手続の簡略化にとどまらず、
            税務面・法務面・流動性・投資家保護の各観点からも合理的であるといえます。

            証券化スキームの柔軟性と安定性を両立するためには、信託という制度の特性を正しく理解し、
            金融商品取引法、信託法、投資運用規制等の複数法制を跨ぐ実務設計が求められます。