判断分析者と助言者の違い、重要な使用人の範囲を正しく理解する
金融商品取引業の登録申請においては、「重要な使用人(政令使用人)」の該当性を誤らないことが極めて重要です。
特に混同されやすいのが、投資判断を行う「判断分析者」と、顧客対応を担う「助言者」との違いです。
判断分析者とは?
- 法令上は「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断を行う者」と定義。
- 投資助言業務または投資運用業において、実際に投資判断を行う役割を担う。
- 部門の責任者だけでなく、実際に投資判断を行う個々の担当者も届出対象となる。
このため、運用部門に投資判断を行う人が複数いる場合、全員が重要な使用人に該当しうる点に注意が必要です。
助言者とは?
- 投資判断を自ら行うのではなく、判断分析者の投資判断を顧客に伝える役割。
- そのため、独自に投資判断を行わない限り、重要な使用人の届出対象にはならない。
つまり、助言者は「伝達者」としての機能にとどまるため、届出不要と整理されています。
なぜ混同されやすいのか?
- 「助言」という言葉が投資判断と結びつきやすい。
- 実務上、助言者も顧客に説明するため、判断しているかのように誤解されやすい。
- 旧投資顧問業法の時代には助言者も重要な使用人とされていた経緯がある。
この背景から、現行の金融商品取引法における整理が分かりづらく、誤った届出をしてしまうケースが少なくありません。
判断分析者の呼称について
- 業界では「判断者」「分析者」「投資判断者」など様々な表現が使われています。
- 金融庁の記載例や業界団体の書式も表現が異なることがあり、現場で混乱を招いています。
- 法令上の要件はあくまで「分析に基づく投資判断を行う者」であるため、分析しかしない者は対象外です。
まとめ
- 判断分析者=投資判断を行う人 → 重要な使用人として届出必須
- 助言者=判断を顧客に伝える人 → 届出不要(独自判断をしない限り)
両者の違いを正しく理解することで、登録申請時の届出漏れや不要な記載を防ぐことができます。