匿名組合とは?3つの特徴を簡単解説

2022/08/01匿名組合

匿名組合とは?3つの特徴を簡単解説

匿名組合とは?3つの特徴を簡単解説

匿名組合の特徴

匿名組合とは(定義)

匿名組合は、匿名組合員(出資者)が、営業者(GP)の営業のために出資し、その営業より生じる利益の分配を受けること契約のことです(商法535条)。

第535条(匿名組合契約)
匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。

匿名組合の特徴

匿名組合の特徴は以下になります。

営業者(GP)が営業(事業)事業を行う

匿名組合は、匿名組合員が営業者の営業のために出資し利益の分配を受けるファンドです。営業者は法人・個人どちらでもなれますが、一般的には株式会社や合同会社がなる場合が多いです。株式会社が営業者の匿名組合をTK-KKスキーム、合同会社が営業者の匿名組合をTK-GKスキームと呼ばれるのはそのせいです。

なお営業者の営業対象は法的に制限されていないため、匿名組合の事業は自由度が高いです。

匿名組合の一般出資者である匿名組合員は有限責任である

匿名組合員は、匿名組合の財産に対して出資額を限度とする有限責任を負うことになります(商法536条第4項)。匿名組合員は有限責任でので、無限責任と異なり、組合財産に対して出資金額の範囲内でのみ責任を追うことになります。

このことによって匿名組合員は比較的リスクが高い事業に対しても匿名組合出資がしやすくなります(商法536条4項)。

第536条(匿名組合員の出資及び権利義務)
4 匿名組合員は、営業者の行為について、第三者に対して権利及び義務を有しない。

匿名組合の所得は、匿名組合にではなく営業者(GP)に課税される

匿名組合自体は法人格を有しませんが、そのGPである営業者はそれが個人だろうと法人だろうと、法人格を有するので、納税義務があります。営業者の営む事業でそれが匿名組合契約の対象である場合も一時的には営業者で課税されます。

しかしながら匿名組合に関して日本の税法では、匿名組合の対象事業から生じる所得のうち、匿名組合契約で匿名組合員に分配される所得については、営業者では損金(必要経費)となると規定されているので(法人税法基本通達14-1-3)、結果匿名組合契約で分配される金額については営業者では課税されず、匿名組合員で課税されることになります。

(法人税法基本通達14-1-3)

(匿名組合契約に係る損益)法人税法基本通達14-1-3
 法人が匿名組合員である場合におけるその匿名組合営業について生じた利益の額又は損失の額については、現実に利益の分配を受け、又は損失の負担をしていない場合であっても、匿名組合契約によりその分配を受け又は負担をすべき部分の金額をその計算期間の末日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入し、法人が営業者である場合における当該法人の当該事業年度の所得金額の計算に当たっては、匿名組合契約により匿名組合員に分配すべき利益の額又は負担させるべき損失の額を損金の額又は益金の額に算入する。

まとめ

本日は匿名組合の特徴について簡単に解説しました。匿名組合の特徴は以下になります。

  • 営業者(GP)が事業を行う
  • 匿名組合の一般出資者である匿名組合員は有限責任である
  • 匿名組合の所得は、匿名組合にではなく営業者(GP)に課税されます。

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