変更報告書の提出義務が発生するケースとは?
大量保有報告書(いわゆる「5%ルール」)は、一定の株式保有割合に達した際に提出義務が発生しますが、その後に重要な変更があった場合にも、「変更報告書」を提出する必要があります。
ここでは、変更報告書の提出義務が発生する典型例と、実務上の注意点を解説します。
変更報告書の提出が必要となる主なケース
金融商品取引法では、次のいずれかに該当する場合、変更報告書の提出義務が発生すると定められています(金融商品取引法第27条の25第1項)。
① 株式等の保有割合の増減(1%以上)
保有株式数が増減し、直前に提出した報告書に記載された割合から1%以上の変動が生じた場合は、変更報告書を提出する必要があります。
例えば、保有割合が5.0%→6.2%となった場合、1.2%増加しているため提出義務が発生します。
② 共同保有関係の変更
共同保有者が増減したり、共同保有の態様(例えば、議決権行使に関する合意内容など)が変更された場合も、変更報告書の提出対象です。
③ 保有目的の変更
当初「純投資目的」として保有していた株式について、「経営参加目的」への変更があった場合など、保有目的に重要な変更があったときにも提出が求められます。
④ 大量保有者に該当しなくなった場合
株式売却等により保有割合が5%未満となった場合には、最終的な変更報告書(いわゆる「5%喪失報告」)を提出する必要があります。
変更報告書の提出期限
変更報告書の提出期限は、変更があった日から5営業日以内とされています(※一部の特例報告制度を除く)。
営業日の起算方法を誤ると遅延提出となり、課徴金対象となる場合があるため、実務では細心の注意が必要です。
実務上の注意点
- 取引単位ごとに1%変動を逐一把握できるよう、社内でモニタリング体制を整備しておくことが重要です。
- 共同保有契約の締結や変更を行う場合は、事前に報告義務の発生有無を検討しておくべきです。
- 報告書作成時には、最新の「保有割合」「保有目的」情報を正確に反映させることが必要です。
- 提出期限直前に大量取引が生じた場合には、専門家と連携しながら迅速な対応を図ることが推奨されます。
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