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    外国籍ファンド(ケイマン等)はなぜ使われる?国内規制との関係も含めて解説

    なぜ外国籍ファンドが利用されるのか?

    日本国内でファンドを設計する際に、「ケイマン籍ファンド」や「ルクセンブルク籍ファンド」を用いるケースが一定数存在します。特に、海外投資家からの資金を受け入れたり、税制上の中立性を確保したい場面では、こうした外国法に基づく組合型ビークルが選ばれることがあります。

    しかし一方で、外国籍ファンドを用いたからといって、日本の金融商品取引法の規制を免れるわけではないという点には注意が必要です。

    代表的な外国籍ファンドの拠点と特徴

    以下に、代表的な外国籍ファンドの種類と特徴をまとめます。

    【ケイマン諸島】
    形態:Exempted Limited Partnership
    特徴:税制中立性が高く、PE・ヘッジファンド等で世界的に標準

    【ルクセンブルク】
    形態:SICAV, SIFなど
    特徴:EUパスポート対応あり。機関投資家向けに人気

    【シンガポール】
    形態:VCC(Variable Capital Company)
    特徴:ファンド管理の一元化を目的とした制度で注目

    【香港】
    形態:Limited Partnership Fund(LPF)
    特徴:アジア域内での代替ビークルとして活用が進む

    日本で外国籍ファンドを運用・勧誘する場合の規制

    外国籍ファンドであっても、以下のような場合には、日本の金融商品取引法上の業規制が適用されます。

    ・日本の居住者を相手にファンド勧誘を行う場合
    ・ファンド運用者が日本に拠点を有する場合
    ・日本の関係会社等を通じて間接的に勧誘を行う場合
    ・外国籍ファンドであっても日本に実質的な運営主体がある場合

    これらのケースでは、以下のいずれかが必要となることがあります。

    ・第二種金融商品取引業の登録
    ・適格機関投資家等特例業務の届出
    ・投資運用業の登録

    外国籍ファンド=節税スキームではない

    「海外にファンドを置けば節税になるのでは?」という疑問を持たれることがありますが、運用者が日本に所在し、投資家も日本の居住者である場合、たとえファンドが海外籍であっても、課税上は日本の税制が適用される可能性が高くなります。

    さらに、タックスヘイブン対策税制(CFC税制)の対象にもなりうるため、単に登記地を海外にするだけでは、節税の実効性は期待できません。

    実務上の活用シーン

    外国籍ファンドの利用が実務的に有効な場面として、以下のようなケースが挙げられます。

    ・海外の適格機関投資家を出資者とするクロスボーダー型ファンド
    ・出資対象事業の規制上、現地法人を通じて投資する必要がある場合
    ・マスター・フィーダー構造や多層ファンド設計が求められる場合
    ・親ファンドを海外で組成し、日本では特例業務でフィーダーファンドを設置する場合

    まとめ

    外国籍ファンドは、投資家層・投資対象・税務・レギュレーションとの整合性を前提に慎重に選ぶべきビークルです。国際的な信頼性と柔軟性が高い一方で、日本国内での勧誘や運営を行う場合には、国内法の適用を免れないことを前提としたスキーム設計が必要です。