投資事業有限責任組合を用いたファンド運営における「みなし共同事業要件」を解説!二種登録不要で運用できる?

2022/09/18投資事業有限責任組合

投資事業有限責任組合を用いたファンド運営における「みなし共同事業要件」を解説!二種登録不要で運用できる?

投資事業有限責任組合を用いたファンド運営における「みなし共同事業要件」を解説!二種登録不要で運用できる?

適格機関投資家等特例業務

投資事業有限責任組合を用いてファンド運営を行う場合には、原則として、ファンドの募集には、第二種金融商品取引業の登録が、預かり資産の運用に関しては投資運用業の登録が必要になり、その例外措置として適格機関投資家等特例業務があります(金融商品取引法第六十三条)。

第二種金融商品取引業や投資運用業に比べて低コスト

適格機関投資家等特例業務は、出資者数が49人以下であり、ファンドの出資者に適格機関投資家が含まれる場合に適用できます。当然ですが、適格機関投資家等特例業務の範囲を超えてファンド事業を行う場合は、募集にあたっては第二種金融商品取引業の登録が、運用にあたっては、投資運用業の登録が必要になります。
適格機関投資家等特例業務は第二種金融商品取引業及び投資運用業の登録に比べて低コストでファンド設立が可能になります。

(適格機関投資家等特例業務)
第六十三条 次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。
一 適格機関投資家等(適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(その数が政令で定める数以下の場合に限る。)及び適格機関投資家をいう。以下この条において同じ。)で次のいずれにも該当しない者を相手方として行う第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に係る私募(適格機関投資家等(次のいずれにも該当しないものに限る。)以外の者が当該権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものに限り、投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定めるものを除く。)
イ その発行する資産対応証券(資産の流動化に関する法律第二条第十一項に規定する資産対応証券をいう。)を適格機関投資家以外の者が取得している特定目的会社(同条第三項に規定する特定目的会社をいう。)
ロ 第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に対する投資事業に係る匿名組合契約(商法第五百三十五条に規定する匿名組合契約をいう。)で、適格機関投資家以外の者を匿名組合員とするものの営業者又は営業者になろうとする者
ハ イ又はロに掲げる者に準ずる者として内閣府令で定める者
二 第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利(同一の出資対象事業(同項第五号に規定する出資対象事業をいう。)に係る当該権利を有する者が適格機関投資家等(前号イからハまでのいずれにも該当しないものに限る。)のみであるものに限る。)を有する適格機関投資家等から出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)の運用を行う同条第八項第十五号に掲げる行為(投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定めるものを除く。)

金融商品取引法第六十三条

「みなし共同事業要件」とは

該当すれば二種・適格機関投資家等特例業務登録不要?

ここで金融商品取引法においては、ファンドの募集に関して第二種金融商品取引業の登録か適格機関投資家等特例業務の登録の必要性が生じますが、金融種品取引法には所謂みなし共同事業要件が規定されており、その規定に適用すると、二種金融商品取引業の登録か適格機関投資家等特例業務の登録が不要となります。
投資事業有限責任組合の出資持分は、金融商品取引法ではみなし有価証券に該当します。みなし有価証券は、金融商品取引法で規定されており、有価証券以外の権利ですが、金融商品取引法の規制を及ぼすために、有価証券とみなしているものになります(金融商品取引法第2条第2項1~7号)。

第2条第2項
五 民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項に規定する組合契約、商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百三十五条に規定する匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)第三条第一項に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利、社団法人の社員権その他の権利(外国の法令に基づくものを除く。)のうち、当該権利を有する者(以下この号において「出資者」という。)が出資又は拠出をした金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行う事業(以下この号において「出資対象事業」という。)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であつて、次のいずれにも該当しないもの(前項各号に掲げる有価証券に表示される権利及びこの項(この号を除く。)の規定により有価証券とみなされる権利を除く。)
イ 出資者の全員が出資対象事業に関与する場合として政令で定める場合における当該出資者の権利
ロ 出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがないことを内容とする当該出資者の権利(イに掲げる権利を除く。)
ハ 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第一項に規定する保険業を行う者が保険者となる保険契約、農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第十号に規定する事業を行う同法第四条に規定する組合と締結した共済契約、消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号)第十条第二項に規定する共済事業を行う同法第四条に規定する組合と締結した共済契約、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第十二号、第九十三条第一項第六号の二若しくは第百条の二第一項第一号に規定する事業を行う同法第二条に規定する組合と締結した共済契約、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の二第七項に規定する共済事業を行う同法第三条に規定する組合と締結した共済契約又は不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)第二条第三項に規定する不動産特定共同事業契約(同条第九項に規定する特例事業者と締結したものを除く。)に基づく権利(イ及びロに掲げる権利を除く。)
ニ イからハまでに掲げるもののほか、当該権利を有価証券とみなさなくても公益又は出資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定める権利

金融商品取引法第2条第2項5号

(出資対象事業に関与する場合)
第一条の三の二 法第二条第二項第五号イに規定する政令で定める場合は、次の各号のいずれにも該当する場合とする。
一 出資対象事業(法第二条第二項第五号に規定する出資対象事業をいう。以下この条及び次条第四号において同じ。)に係る業務執行が全ての出資者(同項第五号に規定する出資者をいう。以下この条において同じ。)の同意を得て行われるものであること(全ての出資者の同意を要しない旨の合意がされている場合において、当該業務執行の決定について全ての出資者が同意をするか否かの意思を表示してその執行が行われるものであることを含む。)。
二 出資者の全てが次のいずれかに該当すること。
イ 出資対象事業に常時従事すること。
ロ 特に専門的な能力であつて出資対象事業の継続の上で欠くことができないものを発揮して当該出資対象事業に従事すること。

金融商品取引法施行令 1 条の 3の 2

「みなし共同事業」の具体的な要件

① 出資対象事業の業務執行が全出資者の同意を得て行金融商品取引法第2条第2項5号で投資事業有限責任事業組合はみなし有価証券に該当し、金融商品取引法の各種規制(第二種金融商品取引業や適格機関投資家等特例業務等)に縛られるわけですが、
「イ 出資者の全員が出資対象事業に関与する場合として政令で定める場合における当該出資者の権利」に該当する場合はみなし有価証券に該当せず、金融商品取引法に該当しないことになります。そしてここで定める政令というのは金融商品取引法施行令施行令であり「出資者の全員が出資対象事業に関与する」と認定されるための具体的な要件が示されています(金融商品取引法施行令 1 条の 3の 2)。

② 全出資者が次のいずれかに該当すること
イ 出資対象事業に常時従事すること
ロ 特に専門的な能力であって出資対象事業の継続の上で欠くことができないものを発揮してその出資対象事業に従事すること

したがってこの共同事業要件を満たす投資事業有限責任組合は金融商品取引法の規制を受けず、第二種金融商品取引業や適格機関投資家等特例業務等が不要になります。

まとめ

本日は投資事業有限責任組合を用いたファンド運営における「みなし共同事業要件」を解説しました。本日のまとめは、以下のとおりです。

  • 投資事業有限責任組合でのファンド運営は、通常第二種金融商品取引業や適格機関投資家等特例業務等が必要となる。
  • 共同事業要件とは、「業務執行が全出資者の同意」、出資者が常時従事するor専門能力を持つ
  • 共同事業要件を満たすと、金融商品取引法の適用範囲外で、第二種金融商品取引業や適格機関投資家等特例業務等が不要となる。

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