有限責任事業組合のファンド活用事例を解説!圧倒的に多い不動産ファンドと株式投資における活用の有無について解説

2022/10/15その他

有限責任事業組合のファンド活用事例を解説!圧倒的に多い不動産ファンドと株式投資における活用の有無について解説

この有限責任事業組合で株式投資が可能かというと、有限責任事業組合の事業は営利事業であり、当然そこには株式投資も含まれますので、有限責任事業組合で株式投資は可能となります。

有限責任事業組合(LLP)とは

 有限責任事業組合(LLP)は、共同して事業を営む組織体です。出資者は有限責任ですが、出資者全てが事業参加することが特長的です。どちらかと言うとファンドというよりは、JV(ジョイントベンチャー)に近い性質のものになります。

有限責任事業組合で株式投資は可能か?

 この有限責任事業組合で株式投資が可能かというと、有限責任事業組合の事業は営利事業であり、当然そこには株式投資も含まれますので、有限責任事業組合で株式投資は可能となります。

出資者を募ることは集団的投資スキームとなり金融商品取引法の規制対象にならないか?

 有限責任事業組合で出資を募って株式投資を行うと、それは集団的投資スキームになり、所謂株式ファンドになり、金融商品取引法の規制対象になるのではないか?という論点があります。
 金融商品取引法の中では、みなし有価証券として「有限責任事業組合契約に基づく権利」と定義しております(金融商品取引法第二条第2項5号)。

(定義)
第二条
2 前項第一号から第十五号までに掲げる有価証券、同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものを除く。)及び同項第十八号に掲げる有価証券に表示されるべき権利並びに同項第十六号に掲げる有価証券、同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものに限る。)及び同項第十九号から第二十一号までに掲げる有価証券であつて内閣府令で定めるものに表示されるべき権利(以下この項及び次項において「有価証券表示権利」と総称する。)は、有価証券表示権利について当該権利を表示する当該有価証券が発行されていない場合においても、当該権利を当該有価証券とみなし、電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。以下この項において同じ。)のうち、流通性その他の事情を勘案し、社債券その他の前項各号に掲げる有価証券とみなすことが必要と認められるものとして政令で定めるもの(第七号及び次項において「特定電子記録債権」という。)は、当該電子記録債権を当該有価証券とみなし、次に掲げる権利は、証券又は証書に表示されるべき権利以外の権利であつても有価証券とみなして、この法律の規定を適用する。
五 民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項に規定する組合契約、商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百三十五条に規定する匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)第三条第一項に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利、社団法人の社員権その他の権利(外国の法令に基づくものを除く。)のうち、当該権利を有する者(以下この号において「出資者」という。)が出資又は拠出をした金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行う事業(以下この号において「出資対象事業」という。)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であつて、次のいずれにも該当しないもの(前項各号に掲げる有価証券に表示される権利及びこの項(この号を除く。)の規定により有価証券とみなされる権利を除く。)

金融商品取引法第二条第2項5号

 したがって、有限責任事業組合であっても、ほかの任意組合、投資事業有限責任組合と同様に金融種品取引法の規制を受けることになります。よって通常の株式ファンドと同様に、募集には第二種金融業者の届出、運用には投資運用業の届出が、原則必要になり、例外として適格機関投資家等特例業務の届出が必要になると言う形です。

共同事業要件に該当するか

 また、金融商品取引法の業者規制の中でいわゆる共同事業要件に該当するかどうかと言う論点はがありますが、これについては、有限責任事業組合の実態次第になります。

株式市場で活用される有限責任事業組合

では実際に有限責任事業組合が株式市場で活用されているかをみてみましょう
まず、適格機関投資家等特例業務に関しては、金融庁がその登録業者をインターネットで公表しているので、それを調べみます。

この表の左から3行目の出資対象事業持分(ファンド)の名称を調べてみると、

3件の有限責任事業組合がヒットしました。その内容は、全て不動産に関わるファンドです。
ファンド総数5,329件中3件しか有限責任事業組合がないということからも、有限責任事業組合は、金融種品取引法の業法規制のかかるファンドとしては活用は不可能でないにしても、選択しずらいスキームということになります。

まとめ

  • 有限責任事業組合(契約に基づく権利)は金融商品取引法のみなし有価証券に該当し規制対象になる。
  • 金融商品取引法の業法規制のかかるファンドスキームとして、有限責任事業組合は選択しずらいスキームである。

手続きのご依頼・ご相談

本日は有限責任事業組合(LLP)のファンド活用について解説しました。当社は平素金融商品取引業務を専門として業務を提供しています。ファンドの組成やスキーム検討に関するご相談は永田町リーガルアドバイザー株式会社までお問い合わせください。