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            簡易株式交付制度とは?手続きの流れ等を解説します。

            簡易株式交付制度とは

            株式交付制度とは、他社を子会社化するために支払う対価として、自社の株式を交付する制度です。株式交換が必ず100%子会社化しないのと違い50%超の株式取得に使われるスキームになります。

            株式交付の手続では、株主総会での株式交付計画の承認手続が必要になります。しかしながら他の組織再編スキームと同様に株式交付にも取締役決議で実施できる簡易株式交付制度が存在します。

            簡易株式交付制度の概要は、公開会社で譲渡人に交付するの対価の額の合計額が親会社の純資産額の1/5を超えない場合に取締役会決議で株式交付制度を実施することができます(会社法第八一六条の4)

            (株式交付計画の承認を要しない場合等)
            第八百十六条の四 前条第一項及び第二項の規定は、第一号に掲げる額の第二号に掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を株式交付親会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合には、適用しない。ただし、同項に規定する場合又は株式交付親会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
            一 次に掲げる額の合計額
            イ 株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する株式交付親会社の株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額
            ロ 株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する株式交付親会社の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額
            ハ 株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する株式交付親会社の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額
            二 株式交付親会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額

            会社法第八一六条の4

            簡易株式交付は、子会社の株主に譲渡する対価の額と親会社の純資産を比べて1/5超か否かが判断基準に見えますが、実際の適用には細かい算定が必要になります。


            まず、会社法第八百十六条の四に規定する「第一号に掲げる額」を算定しなければいけません。「第一号に掲げる額」は、次に掲げる額の合計額になります。(理解しやすいように適宜省略変更します)
            イ.株式の譲渡人に対して交付する親会社の株式数に一株当たり純資産額を乗じて得た額
            ロ.株式の譲渡人に対して交付する親会社の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額
            ハ.株式の譲渡人に対して交付する親会社の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額
            色々規定されていてややこしいですが、一番多いパターンですと、「イ」の交付する親会社株式数に1株当り純資産額を乗じて得た額が分子である「第一号に掲げる額」になります。


            ここで間違えていけないのは、簡易株式交付で使用する1株当り純資産額というのはあくまでも会社法で規定されている1株当り純資産額である点です。

            簡易株式交付の手続きの流れ

            1. 株式交付計画を作成する
            2. 事前開示書類を備置く
            3. 株主総会で計画の承認を得る
            4. 反対株主の株式買取請求、債権者異議手続き
            5. 株主へ通知・公告を行う
            6. 株式の割当てと通知
            7. 株式交付の効力発生
            8. 事後開示書類を備置く

            株式交付計画を作成する

            株式交付を行う場合、株式交付計画を作成する必要があります(会社法七百七十四条の2)。株式交付計画は主に以下の内容を記載する必要があります。(会社法七百七十四条の3第1項)。

            • 株式を交付する子会社(株式交付子会社)の商号と住所
            • 株式交付によって子会社から譲り受ける株式の数の下限
            • 子会社に対価として交付する親会社の株式や金銭等の内訳とその割当て
            • 親会社に譲渡する株式や新株予約権等の譲渡の申込みの期日
            • 株式交付の効力発生日

            事前開示書類を備置く

            株式交付計画の作成後に、株式交付計画備置開始日から株式交付の効力発生後6ヶ月を経過する日までの間、事前開示書類として本店に備え置く必要があります(会社法816条の2第1項)。

            総会で計画の株主承認を得る

            株式交付計画は、効力発生日の前日までに、親会社の株主総会で特別決議による承認が必要になります(会社法816条の3第1項、会社法309条2項12号)。しかしながら小規模の株式交付に関しては、親会社の株主総会特別決議ではなく、親会社の取締役会決議で実施できる、所謂簡易株式交付制度を使用することが可能です。簡易株式交付制度は、親会社が交付する対価の合計額が親会社の純資産額の20%以下であれば利用することができます(会社法816条の4)。

            反対株主の株式買取請求、債権者異議手続き

            株式交付に反対の株主は、会社に対して株式買取請求をする権利があります。株式買取請求をする株主からは、その株式を適正な価格で買い取る必要があります(会社法八百十六条の6)。

            また株式交付の対価として金銭等が含まれている場合には、親会社の債権者は親会社に対して異議を申し入れることができます(会社法八百十六条の8第1項)。また債権者によって異議を申立があった場合には、債権者異議手続を実施する必要があります。

            株主へ通知・公告を行う

            株式交付で親会社となる会社は、対象会社の株主に株式交付計画の通知を行う必要があります(会社法774条の4第1項)。

            株式の割当てと通知

            親会社に株式譲渡を希望する対象会社株主は譲渡の申込期日までに、譲渡希望の株式数等記載した書面を親会社に提出します。

            対象会社株主から書面を受けた親会社は、株式譲受人や交付株式数を記載した通知書を、株式交付の効力発生日前日までに通知する必要があります(会社法七百七十四条の5第1項、第2項)。

            株式交付の効力発生

            株式交付の効力発生日に、対象会社の株式が親会社に譲渡され、親会社の株式が交付されます(会社法七百七十四条の7第2項、会社法七百七十四条の11第2項)。

            事後開示書類を備置く

            株式交付を実施した親会社は、対象会社の株主から譲受けた株式数などを書面などに記載し、効力発生日から6ヶ月の間本店に備え置く必要があります(会社法六百十六条の10)。

            まとめ

            株式交付制度の手続きは以下になります。

            • 株式交付計画を作成する
            • 事前開示書類を備置く
            • 株主総会で計画の承認を得る
            • 反対株主の株式買取請求、債権者異議手続き
            • 株主へ通知・公告を行う
            • 株式の割当てと通知
            • 株式交付の効力発生
            • 事後開示書類を備置く

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            本日は簡易株式株式交付制度の流れをご紹介しました。

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