適格機関投資家特例業務
適格機関投資家特例業務は、1名以上の適格機関投資家が存在し適格投資家以外の政令で定める出資者が49名以下を相手におこうなう、金融商品取引法第二条第2項第5号又は第6号に掲げる権利の私募が対象となります(金融商品取引法第六十三条)。
(適格機関投資家等特例業務)
金融商品取引法第六十三条
第六十三条 次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。
一 適格機関投資家等(適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(その数が政令で定める数以下の場合に限る。)及び適格機関投資家をいう。以下この条において同じ。)で次のいずれにも該当しない者を相手方として行う第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に係る私募(適格機関投資家等(次のいずれにも該当しないものに限る。)以外の者が当該権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものに限り、投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定めるものを除く。)
適格投資家等特例業務の対象である私募とは
ここで適格投資家等特例業務の対象である、金融商品取引法第二条第2項第5号又は第6号に掲げる権利の私募とは、任意組合契約、匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約、有限責任事業組合契約等の権利の私募になります。したがって、適格機関投資家等特例業務の対象はあくまでも集団的投資スキームに限定されるので、株式の私募等については適格機関投資家等特例業務の適用は出来ないことになります。
(適格機関投資家等特例業務)
金融商品取引法第二条第2項第5号、第6号
第二条
2 前項第一号から第十五号までに掲げる有価証券、同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものを除く。)及び同項第十八号に掲げる有価証券に表示されるべき権利並びに同項第十六号に掲げる有価証券、同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものに限る。)及び同項第十九号から第二十一号までに掲げる有価証券であつて内閣府令で定めるものに表示されるべき権利(以下この項及び次項において「有価証券表示権利」と総称する。)は、有価証券表示権利について当該権利を表示する当該有価証券が発行されていない場合においても、当該権利を当該有価証券とみなし、電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。以下この項において同じ。)のうち、流通性その他の事情を勘案し、社債券その他の前項各号に掲げる有価証券とみなすことが必要と認められるものとして政令で定めるもの(第七号及び次項において「特定電子記録債権」という。)は、当該電子記録債権を当該有価証券とみなし、次に掲げる権利は、証券又は証書に表示されるべき権利以外の権利であつても有価証券とみなして、この法律の規定を適用する。
五 民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項に規定する組合契約、商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百三十五条に規定する匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)第三条第一項に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利、社団法人の社員権その他の権利(外国の法令に基づくものを除く。)のうち、当該権利を有する者(以下この号において「出資者」という。)が出資又は拠出をした金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行う事業(以下この号において「出資対象事業」という。)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であつて、次のいずれにも該当しないもの(前項各号に掲げる有価証券に表示される権利及びこの項(この号を除く。)の規定により有価証券とみなされる権利を除く。)
六 外国の法令に基づく権利であつて、前号に掲げる権利に類するもの
「私募」とはなにか「募集」との違い
適格投資家等特例業務の対象は、集団的投資スキームの私募になりますが、私募とは何かを考えます。有価証券の「私募」とは、取得勧誘であつて有価証券の募集に該当しないものをいいます(金融商品取引法第二条第三項)。
有価証券の「募集」とは、不特定かつ多数(50名以上)の一般投資家から有価証券の募集をすることになります。
したがって、適格機関投資家等特例業務の対象は、集団的投資スキームの権利を不特定かつ多数(50名以上)の一般投資家から募集しない(=私募)の形式を対象とします。
まとめ
本日は、適格機関投資家等特例業務の対象について解説しました。適格機関投資家等特例業務の対象は次のとおりです。
- 集団的投資スキームの権利
- 私募(適格機関投資家以外の出資者は49人以下)
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