ファンド組成における主なヴィークルには、任意組合、匿名組合、投資事業有限責任組合(LPS)、有限責任事業組合(LLP)、外国法に基づく組合などがあります。
どの形態を選択すべきかは、それぞれの特徴を把握した上で決定する必要があります。
このコラムでは、匿名組合・任意組合・LLP・LPSの違いについてわかりやすく解説していきます。
ファンド組成における集団投資スキーム
任意組合、匿名組合、投資事業有限責任組合(LPS)、有限責任事業組合(LLP)などの組合型のヴィークルは、共同事業性等の一定の除外要件を満たさない場合には「集団投資スキーム」と呼ばれています。
実務的には、商法上の匿名組合や投資事業有限責任組合(LPS)が選択されるケースが多いです。
匿名組合・任意組合・LLP・LPSの比較
任意組合、匿名組合、投資事業有限責任組合(LPS)、有限責任事業組合(LLP)について、違いがわかるよう比較表にまとめています。
任意組合(民法667条) | 投資事業有限責任組合(LPS) | 匿名組合(商法535条) | 有限責任事業組合(LLP) | |
法人格 | なし | なし | 営業者は法人格を有する | なし |
組合財産 | 組合員の共有 | 組合員の共有 | 営業者に帰属 | 組合員の共有 |
納税主体 | パススルー課税 | パススルー課税 | 営業者と組合員それぞれが課税対象となる | パススルー課税 |
組合員の資格 | 制限なし | 有限責任社員の場合制限なし(無限責社員の場合、登記上の問題あり) | 営業者は商人(組合員は制限なし) | 1人は国内の居住者または内国法人 |
組合員の責任 | 無限責任 | 無限責任と有限責任 | 有限責任(営業者は無限責任) | 有限責任 |
労務出資 | 〇 | × | × | × |
業務執行 | 組合員の過半数(業務執行者の選任可能) | 無限責社員の過半数 | 営業者のみ | 総組合員の全員一致で行うのが原則ただし、契約の定めがあれば、それ以外の方法もとれる(重要な財産の処分・譲受け、もしくは多額の借財 をする場合には、原則として総組合員の同意が必要) |
事業目的 | 制限なし | 制限あり | 制限なし | 一部制限あり |
登記制度 | なし | あり | なし | あり |
会計監査 | 任意 | 強制 | 任意 | 任意 |
従来型の任意組合の場合、組合員全員が無限責任を負うことから、投資家のニーズを満たせないケースがほとんどでした。
投資事業有限責任組合(LPS)は、こうした任意組合のデメリットを解消できるヴィークルになっているので、任意組合よりも規制が厳しくなっています。
また、投資家保護を目的として、会計監査が強制されるなど、ガバナンスの強化も図られています。
なお、それぞれにおける税務処理については、こちらの記事をご参照ください。
参照:組合型ファンド(任意組合、匿名組合、投資事業有限責任組合、有限責任事業組合)の税務処理について:その2
まとめ
組合型ファンドは、それぞれにメリット・デメリットがあります。
ファンドの組成・スキーム検討等についてのご相談は、永田町リーガルアドバイザーまでお気軽にお問い合わせください。
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