従来型の投資ファンドである任意組合のデメリットを補うために採用される投資事業有限責任組合ですが、さまざまな特徴があります。
このコラムでは、投資事業有限責任組合の特徴を簡単に説明していきます。
投資事業有限責任組合とは?
投資事業有限責任組合とは、投資事業有限責任組合契約に基づき組成される組合であり、「投資事業有限責任組合に関する法律」に規定されるファンドです。
従来から存在している任意組合の場合、機動的なファンド形成が可能である反面、出資者が無限責任を負うことから、借入等組み合わせたスキームでは採用しにくいというデメリットが存在しました。
投資事業有限責任組合では、出資者が有限責任になれることから、任意組合のデメリットを解消した形でのファンド形成が可能となります。
投資事業有限責任組合の特徴
投資事業有限責任組合の特徴は、以下の通りです。
なお、投資事業有限責任組合の特徴についてはこちらのページもご参照ください。
参照:投資事業有限責任組合
投資事業有限責任組合契約による制限
投資事業有限責任組合契約を結ぶことにより、組合が行える事業の範囲は、投資事業有限責任組合法で規定される範囲に限定されます。
たとえば、暗号資産やFX取引への投資事業は認められていません。
また、一定の重要事項については、組合契約の効力発生から2週間以内に登記を行う必要があります。一定の重要事項には、組合の事業内容や名称、無限責任組合員の氏名・住所等が挙げられます。
登記を行うことにより、第三者が有限責任組合員と知らずに取引を行うことによる不測の損害を避けることができます。
無限責任組合員と有限責任組合員
投資事業有限責任組合の組合員は、「無限責任組合員」と「有限責任組合員」の2つに分かれます。
無限責任組合員は、組合の債権者に対して無限に責任を負うことになります。
一方、有限責任組合員は、その出資額を限度として責任を負うことになるので、必要以上に組合の債務を負担することがありません。
ただし、有限責任組合員であるにもかかわらず、相手方に対して自らが業務執行を行う権利を有すると誤認させた場合には、無限責任組合員と連帯して無限に責任を負うことになるので、注意が必要です。
適格機関投資家に分類される
投資事業有限責任組合は、有価証券への投資にかかる専門的知識・経験を有している「適格機関投資家」に分類されるため、低コストで質の高い有価証券取引業務の提供を受けることができます。
なお、適格機関投資家の全てが運用資産残高5億円未満の投資事業有限責任組合である場合、適格機関投資家等特例業務として認められないことに、注意が必要です。
まとめ
投資事業有限責任組合は、投資事業有限責任組合契約に基づき組成される組合であり、任意組合のデメリットを解消した上でのファンド形成が可能となります。
ファンドの組成・スキーム検討等についてのご相談は、永田町リーガルアドバイザーまでお気軽にお問い合わせください。
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