匿名組合の組成にライセンスは必要?無登録で進めるリスクと規制の背景
匿名組合は柔軟なファンドスキームとして広く使われていますが、「匿名組合だから特別な許可はいらない」と考えるのは誤りです。
組合型ファンドの多くは、法的に金融商品取引業の登録や届出が必要となります。
ライセンスは形態で変わらない
民法組合や投資事業有限責任組合(LPS)など、さまざまな組合型ファンドがありますが、法的種別によって登録要件が変わるわけではありません。
匿名組合であっても、法律上の除外規定を満たさない限り、原則として第二種金融商品取引業(7号または9号業務)の登録が必要です。
無登録での組成はリスクが高い
過去には、親子会社間での匿名組合や、特定の1対1の契約であれば登録不要と判断して進めた事例もありました。
しかし現在の実務では、こうした整理はほぼ通用しません。
- 不動産証券化の一部を除き、密接な関係者間でも登録が必要とされるのが一般的
- 「業ではない」という理屈は金融商品取引業の解釈では厳しく、ほぼ認められない
- 財務局から報告徴求や警告を受けた事例が多数存在
この背景には、過去に匿名組合を使った不適切なスキームが多発した経緯があります。
平成電電事件や近未来通信事件などを受け、金融商品取引法で匿名組合持分が有価証券と明確化され、業規制の対象になった歴史があります。
誤ったアドバイスに注意
金融に不慣れな事務所や企業の中には、「契約内容や税務理由から無登録で大丈夫」と助言するケースも見られます。
しかし、こうした整理は法的安定性を欠き、後に違法営業と判断されるリスクが極めて高くなります。
まとめ
匿名組合の組成は、法的スキームの柔軟さから多くの分野で利用されていますが、原則として第二種金融商品取引業などの登録が必要です。
「匿名組合だから例外」という考えは通用せず、無登録での実行は規制違反のリスクを抱える行為となります。
組成を検討する際は、必ず専門家と登録要否を精査することが重要です。