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    外為法における「コア業種」と届出判断の実務、どのような業種・取引が届出対象になるのか

    なぜ「コア業種」の区分が重要なのか

    外国投資家による日本企業への出資・買収は、外為法上「対内直接投資」として届出が必要な場合があります。
    その中でも、国の安全保障上特に重要な業種は「コア業種」として指定されており、
    届出免除制度の適用が認められないなど、厳格な審査が行われます。

    事前届出の対象となる業種

    財務省告示により、事前届出が必要な業種は次のように区分されています。
    これらはいずれも「事業規模を問わず」、また子会社が該当事業を営む場合も対象です。

    区分具体例
    防衛・安全保障関連武器、航空機(ドローン含む)、宇宙開発、原子力関連の製造・修理・ソフトウェア業
    先端技術関連工作機械、産業用ロボット、半導体製造装置、蓄電池、金属3Dプリンター等
    資源・エネルギー関連重要鉱物資源の採掘・製錬、肥料輸入、特定離島港湾施設整備など
    医療・感染症対策感染症対応医薬品、高度管理医療機器製造業
    インフラ・通信電力、ガス、通信、上水道、鉄道、放送、旅客運送など
    情報・セキュリティ情報処理関連機器・部品・ソフトウェア製造業、情報サービス業

    これらの業種に属する企業、または子会社を持つ企業に対して外国投資家が投資を行う場合、
    原則として事前届出が必要となります。

    コア業種の具体的な範囲

    上記のうち、特に国の安全保障に密接に関連する業種が「コア業種」とされます。

    分野コア業種例
    防衛・先端製造武器・航空機・宇宙開発・原子力関連・軍事転用可能な汎用品の製造業
    医療・資源感染症に対する医薬品製造、高度管理医療機器製造、鉱業・製錬業
    産業基盤工作機械・産業用ロボット、永久磁石、半導体製造装置、蓄電池、金属粉末など
    インフラ・通信電力・ガス・通信・鉄道・放送・サイバーセキュリティ関連業種

    コア業種に該当する場合、免除制度の対象外となり、投資ごとに財務省等への審査付届出が必要です。

    事前届出が必要となる投資行為

    次のいずれかに該当する場合、外国投資家は原則として事前届出を行う必要があります。

    行為の類型届出対象となる例
    株式取得上場会社の1%以上、非上場会社の1株以上の取得(端株を含む)
    役員就任外国投資家または関係者が役員に就任することに株主総会で同意
    事業関与事前届出業種の事業を譲渡・廃止する提案・同意を行う場合

    届出要否の判断プロセス(3要件)

    届出が必要か否かは、次の3点を総合的に判断します。

    1. 投資家が「外国投資家」に該当するか
    2. 投資先企業が「事前届出業種」を営んでいるか
    3. 投資行為が「届出対象行為」に該当するか

    これら3つすべてに該当する場合、事前届出が必要となります。

    典型事例でみる届出要否の考え方

    財務省資料には、理解を助けるために3つの事例が示されています。

    事例概要届出要否
    ① 非上場工作機械メーカーへの投資Z国の個人投資家が、輸出規制対象製品を製造するA社株式を取得必要(非上場・防衛関連・外国投資家)
    ② 防衛装備部品メーカーの事業承継外国ファンドが防衛装備部品を製造するA社を買収必要(防衛装備品=コア業種)
    ③ ソフトウェア子会社を有する上場企業外国法人が親会社A社の株主総会で役員就任に同意必要(子会社が情報処理業)

    いずれの事例も、
    ①外国投資家該当性、②事業内容、③行為類型の3要件をすべて満たすため、事前届出が必要と判断されています。

    「事業規模が小さい場合」の扱い

    売上比率がごく小さい場合でも、当該事業を営んでいれば届出の対象となります。
    事業の主たる目的でなくとも、該当業務が存在するだけで届出が必要となる点が実務上の注意点です。

    企業側の実務対応

    • 届出義務は外国投資家にありますが、受入企業も事前確認が重要。
       無届出投資の場合、国の安全に支障があると判断されれば、株式売却命令などが行われる可能性があります。
    • 子会社の業種まで網羅的に確認する。
       持株会社・グループ構造下では、子会社の事業内容によって届出対象となるケースが多く見られます。

    まとめ

    外為法の届出判断は、「誰が・どの企業に・どのような行為を行うか」という三点で構成されています。
    中でも「コア業種」該当性は免除制度や審査の要否を左右する最重要ポイントです。

    企業としては、外国資本を受け入れる際には、
    自社および子会社の事業内容を常に最新の法令・告示に照らして確認しておくことが求められます。