大量保有報告制度は「名義」ではなく「実質」で判断されます。名義書換未了でも提出義務が生じる理由
大量保有報告制度において、実務上よく出てくる誤解の一つが、
「名義が自分でなければ保有に当たらないのではないか」という考え方です。
しかし、財務局Q&Aを確認すると、
この制度は一貫して名義ではなく実質保有を基準として設計されていることが分かります。
1. 名義書換をしていなくても「保有」に含まれます
財務局Q&Aでは、
株券等を譲り受けたものの名義書換を行っていない場合であっても、
実質的に保有していれば大量保有報告の対象になると整理されています。
金融商品取引法では、保有者を
自己又は他人の名義をもって株券等を所有する者
と定義しており、
名義が誰かは決定的ではありません。
このため、
- 他人名義のまま株式を保有している場合
- 名義書換が未了の状態で株式を管理・処分できる場合
であっても、
大量保有報告制度上は「保有」に該当し得ます。
2. なぜ「実質保有」を見る制度になっているのか
この考え方は、制度の目的から整理できます。
大量保有報告制度は、
- 経営に影響を与え得る株式保有状況
- 議決権行使に関する実態
を市場に開示するための制度です。
そのため、
- 名義だけを形式的に分散させる
- 名義書換を遅らせる
といった手法によって、
実際の支配関係や影響力が見えなくなることを防ぐ必要があります。
このため、制度上は当初から
名義ではなく、実質的な支配・保有の有無が重視されています。
3. 実務で問題になりやすい場面
名義と実質のズレが問題になりやすいのは、次のようなケースです。
- 相対取引で株式を取得したが、名義書換が遅れている場合
- グループ内や関係者名義で株式を保有している場合
- 管理委託や預託の形を取っている場合
これらの場面では、
「名義が誰か」よりも「誰が保有者として位置づけられるか」を
制度上の定義に照らして確認する必要があります。
4. 実務上の整理
財務局Q&Aの記載を踏まえると、
次のように整理できます。
- 大量保有報告制度では
名義書換の有無は判断基準にならない - 実質的に株券等を保有しているかどうかが判断の出発点
- 名義に頼った判断は、提出漏れにつながりやすい
まとめ
- 大量保有報告制度は、名義基準の制度ではない
- 名義書換未了でも、実質保有があれば提出義務が生じ得る
- 判断に迷う場合は、
「誰が株式を支配・管理しているか」という視点で整理する必要がある
この点は、
提出要否を検討する際の最初の確認ポイントとして、常に意識しておくべき事項です。
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