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    大量保有報告制度は何が変わるのか?令和6年金商法改正による「共同保有」「潜在株」「保有目的」実務の再設計

    2026年5月1日、実務が変わります。

    令和6年金融商品取引法等改正により、大量保有報告制度は形式的な5%ルールから、
    実質的影響力を可視化する制度へと大きく舵を切りました。
    とりわけ実務上インパクトが大きいのは、

    • みなし共同保有者の範囲の再定義
    • 現金決済型エクイティ・デリバティブの算入
    • 「保有目的」「重要な契約」の記載義務の拡充
      です。

    改正後制度は2026年5月1日以後に報告義務が発生する案件から適用され、
    施行日時点での保有割合再計算により、施行日当日に提出義務が発生するケースも想定されます。

    なぜ制度改正が行われたのか

    今回の改正は、金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等WG報告」を踏まえ、
    以下2点を同時に達成することを目的としています。

    1. 協働エンゲージメントの萎縮を防ぐこと
    2. 制度潜脱的な影響力行使を捕捉すること

    その結果、「誰と・どの関係で・どの程度の影響力を持つのか」を
    外形基準でより明確に示す制度設計へと変更されました。

    1.共同保有者の範囲はどう変わったのか

    夫婦は「みなし共同保有者」から除外

    改正前は、夫婦関係にあるだけで保有株式が合算される扱いでしたが、
    改正後は夫婦関係のみを理由とする合算は行われません

    これは、公開買付制度における「特別関係者」整理との整合を取ったものです。

    一方で、実務上注意すべき「追加された関係」

    その反面、以下のような実質的影響力が推認されやすい関係は、
    新たに「みなし共同保有者」として明示的に追加されています。

    • 役員兼任関係
      • 代表者・実質的に代表権を有する者の兼任
    • 株式取得資金の提供関係
      • 株式取得を前提とした資金供与・取得要請
    • 重要提案行為等の要請関係

    形式的な肩書ではなく、実質的な支配・影響力が判断軸になる点が重要です。

    2.「重要提案行為等」はどこまで該当するのか

    範囲は「拡大」ではなく「明確化」

    重要提案行為等については、
    「広すぎて萎縮効果がある」という批判を受け、該当範囲が再整理されました。

    代表的な該当事項は次のとおりです。

    • 代表取締役の選解任
    • 特定の者の役員選任
    • 役員構成の重要な変更
    • 重要な組織再編・事業譲渡等

    さらに、単なる意見交換では足りず、
    ①提案性、②政令列挙事項該当性、③事業への重大影響目的
    という3要件をすべて満たす場合に該当すると整理されています。

    3.潜在株式・デリバティブはどう扱われるのか

    現金決済型エクイティ・デリバティブも算入対象へ

    改正後は、
    現金決済型であっても、実質的に株式取得・議決権影響を意図するデリバティブは、
    大量保有報告上「株券等の数」に算入されます。

    これは、
    「現物を持たずに影響力だけ行使する行為」を捕捉するための改正です。

    転換型株式・潜在株の扱いも厳格化

    • 転換後に議決権が増加する株式は、転換前でも最大株式数で計算
    • 潜在株式の重複分は、分子・分母の双方で控除

    これにより、保有割合計算のロジック自体が変わる点に注意が必要です。

    4.大量保有報告書の「書き方」が変わる

    保有目的は「より具体的に」

    今後は単に
    「純投資」「重要提案行為等を行うこと」
    と書くだけでは足りません。

    特に以下の場合は、具体的記載が義務化されます。

    • 重要提案行為等を行う予定がある場合
    • 5%超の追加取得を決定・予定している場合

    取得時期・方法・数量・目的まで含めた説明が求められます。

    契約内容の開示も拡充

    • 共同保有者との合意内容
    • デリバティブ契約の詳細
    • 役員指名権・議決権制限契約

    守秘義務があっても開示が優先される点は、実務上の大きな注意点です。

    実務家として押さえるべきポイント

    • 「形式的に5%を超えたか」ではなく
      影響力の有無・意図が問われる制度に変わった
    • 施行日(2026年5月1日)時点での再計算に要注意
    • ファンド、CB、SO、デリバティブを含む案件では
      事前の制度適合チェックが必須

    まとめ

    今回の大量保有報告制度改正は、
    提出義務を増やすための改正ではありません
    一方で、
    「見せなくてよかったものは、もう通らない」
    という明確なメッセージでもあります。

    2026年を見据え、
    今のうちから保有構造・契約関係・報告体制の棚卸しを行うことが、
    実務上の最大のリスク管理となります。

    大量保有報告書作成及び提出代行業務のご依頼は当事務所へ

    大量保有報告書および変更報告書の提出実務は、単に「5%を超えたかどうか」を確認すれば足りるものではありません。
    共同保有関係の有無、潜在株式やデリバティブの取扱い、保有目的や契約内容の記載方法など、判断を誤れば不提出・虚偽記載と評価されかねない論点が数多く存在します。

    当事務所では、EDINETのID取得をはじめ、大量保有報告書の作成及びEDINET提出までを一貫してサポートし、大量保有報告書・変更報告書の提出代行業務を承っております。

    大量保有報告書に関するご依頼・ご相談は、下記問い合わせフォームよりお問い合わせください。