大量保有報告書の変更報告書は「1%」だけ見て判断するべきではない
大量保有報告制度に関するご相談の中で、最も判断を誤りやすいのが変更報告書の提出要否です。
「保有割合が1%動いていないから不要」と即断してしまうケースは少なくありませんが、実務上はそれほど単純ではありません。
本稿では、財務局Q&Aの整理を踏まえつつ、変更報告書の要否判断で最低限押さえるべき考え方を確認します。
1. 変更報告書が必要となる基本類型
変更報告書の提出義務が生じるのは、主に次の2類型です。
- 株券等保有割合が 1%以上増減 した場合
- 大量保有報告書に記載すべき 重要な事項に変更 があった場合
前者はよく知られていますが、実務で問題になるのは後者です。
2. 「重要な事項の変更」は想像以上に広い
重要な事項の変更には、単なる数値変動だけでなく、以下のような内容が含まれます。
- 保有者または共同保有者の 氏名・商号・住所(所在地)の変更
- 共同保有者の構成の変更(人数の増減を含む)
- 担保契約、貸借契約、売戻し契約等の 重要な契約内容の変更
- 保有する株券等の 内訳の変更(株式・新株予約権付社債等の構成変動)
特に注意が必要なのは、株券等保有割合としては1%以上動いていなくても、内訳の変更が1%以上に達する場合には変更報告書が必要になる点です。
「割合は変わっていない」という理由だけで判断してしまうと、見落としが生じます。
3. 「提出不要」とされる例外規定にも注意が必要です
財務局Q&Aでは、変更報告書が不要とされる場合も列挙されています。
たとえば、単体株券等保有割合が1%未満の者が新たに共同保有者となった場合などです。
ただし、これらの例外は非常に条件が細かく限定的です。
- 共同保有者の中に、単体で1%以上増減している者が一人でもいれば、
全体としての増減が1%未満であっても提出が必要 - 契約変更や内訳変更も、「どの範囲の株券等が対象か」によって結論が変わる
結果として、例外規定を理由に提出不要と判断する方が、むしろ難易度が高いというのが実務感覚です。
4. 発行済株式総数の変動による割合変化はどう考えるか
第三者割当増資や株式分割等により、保有株数は変わっていないのに保有割合だけが変動するケースもあります。
この場合、
- 保有株券等の「数」に変更がない
- 発行済株式総数の増減によって割合が変動しただけ
であれば、原則として変更報告書の提出は不要と整理されています。
もっとも、その後の売買等により保有株数が変動した場合には、改めて割合を再計算し、1%以上の増減が生じていないかを確認する必要があります。
5. 実務上の結論
変更報告書の要否判断においては、
- 「1%以上動いたか」だけでなく
- **何が変わったのか(数・割合・内訳・契約・人)**を切り分けて考える
ことが不可欠です。
とくに、共同保有関係が絡む案件や、担保・貸借等の契約が存在する案件では、
結果として提出不要となる場合でも、その判断過程を整理しておくこと自体が重要になります。
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