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    契約締結前交付書面には何を記載すべきか?特例業務における出資者への説明義務と記録対応

    出資者への説明は「契約前」が原則

    適格機関投資家等特例業務(63条業務)では、出資者に対して出資契約を結ぶ前に、リスクや費用などを明記した「契約締結前交付書面」を交付することが法令上義務付けられています。

    この交付書面は単なるパンフレットや案内文ではなく、制度上の正式な説明書類であり、出資者の属性にかかわらず、原則として交付・説明・記録保存が必要です。

    なぜ必要なのか?(制度趣旨)

    • 出資の意思決定前に、リスクや費用、事業内容を正しく理解してもらうため
    • 誤解や苦情、トラブルを未然に防ぐため
    • 金融庁監督指針や内閣府令により、投資勧誘時の行為規制として位置づけられている

    契約締結前交付書面に記載すべき項目(一般的な構成)

    【1. 出資対象事業の概要】

    • ファンドが投資する資産の種類、事業モデル
    • 出資金の使途、組織構造(GP/LP等)

    【2. リスクの説明】

    • 元本毀損リスク、事業失敗リスク、流動性の欠如など
    • 通貨変動や政策リスク(海外案件がある場合)
    • 分配金や償還金が保証されないことの明記

    【3. 報酬・費用】

    • 管理報酬、成功報酬、手数料等の料率・支払方法
    • その他ファンドが負担する費用(監査費用、法務費用など)

    【4. 契約期間・途中解約の取扱い】

    • 契約の有効期間
    • 解約が可能な条件とその手続き
    • 解約時の分配・清算のルール

    【5. 分配・償還の方法】

    • 収益分配の基準・スケジュール
    • 償還金の算出方法・支払日程

    【6. 契約終了時の対応】

    • 清算時の処理、残余財産の分配方法
    • 報告書の交付有無

    【7. その他重要事項】

    • 利害関係者との関係性(関係会社、取引先等)
    • 記録保存、反社排除、紛争時の管轄等

    書面の形式と交付の方法

    • PDF形式での交付が主流(メール送付/ダウンロード方式)
    • 紙媒体で交付する場合は受領サインの取得が推奨
    • 「交付した証拠」(送信履歴や説明記録)は出資者ごとに保存が必要

    よくある誤解とリスク

    誤解実務上の正解
    適格機関投資家には出さなくてよい基本的には必要(特定投資家以外は義務)
    書面ではなく口頭説明だけでよい書面交付が原則。説明記録も必須
    パンフレットがあれば足りる内容・形式ともに法定水準を満たす必要あり

    まとめ

    契約締結前交付書面は、ファンドスキームの透明性と出資者保護を支える中核文書です。
    とくに少人数かつプロ向けである特例業務においても、「相手が分かっているから大丈夫」と油断せず、制度上求められる説明義務を確実に履行することがトラブル防止と信頼維持の鍵となります。