投資事業有限責任組合とは
投資事業有限責任組合(以下「LPS」という)は、日本の投資ファンドとして利用される企業形態です。「投資事業有限責任組合に関する法律」に基づいて設立され、複数の当事者が参加する組合で、民法上の任意組合の一種です。
以前、日本では匿名組合や投資信託などの形態でファンドが組成されていました。しかし、昭和50年代後半から60年代にかけて、民法上の任意組合を利用したファンドが普及し、現在でも広く利用されています。ただし、任意組合では、構成員が無限責任を負うため、借入や組合事業を行いにくい問題があり、改善が求められていました。
そこで、1998年に「中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律」が制定され、無限責任組合員(業務執行者)と有限責任組合員(出資者)を区別できるLPSが登場しました。これにより、出資のみを行う組合員は有限責任を持つことが可能になりました。
2004年のLPS法改正では、組合員の資格制限や人数制限の撤廃、融資や金銭債権取得に関する出資先企業の限定撤廃、取得できる有価証券の範囲拡大、ファンド・トゥ・ファンドに関する制限の撤廃などが行われ、より使いやすい制度となりました。
現在では、LPSはベンチャーキャピタルやプライベートエクイティファンドなどの投資先として広く利用されており、企業へのエクイティ資金供給に役立っています。
LPSの特徴
LPSの特徴は、運営がシンプルで、設立や運営費用が比較的安く、限定的な責任を持つことができます。しかし、資金調達が難しいことや、業務執行者の責任が大きいこと、参加者間の信頼関係が重要であることがデメリットとなります。LPSを設立する際は、目的や運営方針を明確にし、適切な参加者との信頼関係を築くことが重要です。LPSの設立プロセスでは、まず組織の目的や運営方針を決定し、業務執行者と出資者の役割分担を明確にします。次に、必要な書類を用意し、登記所に申請を行い、登記が完了すればLPSが正式に設立されます。
LPSは税制面でも利点があります。一般的な企業では利益が発生すると法人税が課されますが、LPSでは利益が参加者に直接分配されるため、法人税が適用されません。ただし、参加者は受け取った利益に対して所得税を支払わなければなりません。
投資目的で設立される企業形態であり、運営がシンプルで設立や運営費用が比較的安いことが特徴です。また、業務執行者と出資者が明確に区別され、出資者は有限責任を持つことができます。そのため、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティファンドなどの投資先として広く利用されています。
まとめ
投資事業有限責任組合(LPS)は日本の投資ファンドの一つで、「投資事業有限責任組合に関する法律」に基づく組合形態です。1998年以降、LPS法改正により運営がシンプルで設立費用が低減し、出資者は有限責任を持つことが可能になりました。個々の案件では資金調達が難しかったり信頼関係の構築が必須ですが、日本ではベンチャーキャピタルやプライベートエクイティファンドなどの投資先として現在広く利用されています。
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