投資助言・代理業と金融商品仲介業の兼業はできるのか?両立に潜むリスクと制限
投資助言・代理業と金融商品仲介業(いわゆるIFA業務)は、どちらも金融商品取引法に基づく登録業態ですが、両者を同時に営むことには重大な注意点があります。
特に、顧客に対する立ち位置や収益構造の違いから、利益相反の問題が生じやすく、登録上の障害になることもあるため、慎重な検討が必要です。
投資助言業と金融商品仲介業の本質的な違い
- 投資助言業は、顧客からの助言報酬によって成り立ち、「アドバイザーとしての立場」にあります。
- 一方、金融商品仲介業は、証券会社などの委託者の商品を販売し、販売手数料等によって収益を得る、「販売者としての立場」です。
このように、両業務は顧客に対する立場が正反対であり、構造的な利益相反が存在するとされます。
兼業をめぐる実務と行政のスタンス
平成20年代に一部の財務局が両業務の兼業を行政指導により制限していた事例が確認されており、
このような経緯から、かつては兼業があまり進んでいませんでした。
しかし近年は、令和に入り兼業事業者が増加傾向にあるとされており、登録自体は不可能ではないものの、厳格な要件と体制整備が求められる状況にあります。
実務上の制限と構築すべき体制
両業務を兼業する場合、以下のような措置が求められることがあります
- ファイアウォールの構築(情報遮断・管理体制の整備)
- 手数料体系の分離と明確化
- 顧客への説明義務の強化
これらの体制が不十分な場合、登録申請自体が極めて困難になることもあるとされています。
「投資助言業+金融商品仲介業」の事例
ウェブ上では、次のようなビジネスモデルの事例が紹介されています。
- 同一顧客に対して、ラップ口座の開設を仲介しつつ、ラップの運用に関する助言を証券会社へ提供するモデル
- 投資助言と仲介を一体として提供しようとするプライベートバンキング型モデル
これらのモデルでは、形式上両業務を切り分けていても、実態としての利益相反管理が重要視されるため、より高度な内部体制が必要とされます。
まとめ
投資助言・代理業と金融商品仲介業を兼業することは、法律上不可能ではありませんが、実務上は厳しい審査を伴い、高度な利益相反管理体制が必須で現実的には難しい傾向にあります。
両業務を「一体として提供」するような事業モデルでは、登録自体を見送ることが推奨されるケースもあるため、十分な事前検討が求められます。