投資助言・代理業に登録しないとどうなる?無登録営業のリスクと処分の現実
「まだ小規模だし、登録しなくても大丈夫ですよね?」
「助言というより“雑談”だから、規制されるとは思わなかった」
こうした考えのもとで、無登録のまま有償で投資情報を提供し、行政処分や刑事告発を受ける例が、今もなお後を絶ちません。
この記事では、投資助言・代理業の無登録営業が違法となる根拠と、処分の具体的リスクについて、実務の視点から解説します。
無登録営業は金融商品取引法違反
金融商品取引法では、以下の行為を登録なしに行うことを禁止しています。
- 有価証券や金融商品の価値等に関する投資判断の助言を
- 有償で
- 継続的・反復的に提供する行為(※=業としての助言)
金融商品取引法第29条
「金融商品取引業を営もうとする者は、内閣総理大臣の登録を受けなければならない。」
→ つまり、登録なしに有料で投資判断を助言する行為は、明確に法律違反となります。
よくある無登録違反のパターン
実際に処分対象となっている例の多くは、次のようなケースです
- 有料メルマガ・オンラインサロンでの銘柄配信
- note・Discordなどの有償グループでの投資アドバイス
- 自動売買ソフト(EA)の販売+売買ポイント配信
- SNS上で「会員制情報提供」と称して特定の売買を指示
- 過去の売買実績を示しながら、助言行為を継続的に展開
これらは「形式的には教育」「自主投資の共有」と言いながらも、実質的に投資判断の提供を業として行っていると判断され、摘発対象となります。
実際に行われた行政処分の例(金融庁公表)
● A社(関東財務局管内)
- 内容:有料メール配信にて、特定銘柄の売買推奨を提供
- 登録:未登録
- 処分:金融商品取引法第29条違反により業務停止命令+刑事告発
● B個人(九州財務局管内)
- 内容:投資サロンで「今週はこの銘柄を買い」と助言
- 主張:「投資教育であり助言ではない」
- 評価:実質的な投資判断提供を行っていたとして違法と判断
無登録営業が発覚するきっかけ
無登録助言業者は、次のような流れで発覚することが多いです。
- 一般投資家からの通報(情報提供)
- 金融庁または財務局によるネットパトロールやステルス確認
- サービス内容・利用者対応を通じて反復的助言の実態が確認される
→ 登録制度に対する違反については、実際のビジネス規模にかかわらず行政対応がなされます。
無登録営業に対するペナルティ
- 行政処分(業務停止命令)
- 刑事告発・罰則(5年以下の懲役または500万円以下の罰金)
- 行政処分歴の公表(金融庁サイトで公開)
- 業界での信用失墜・提携打ち切り
- 損害賠償請求リスク(顧客からの訴訟)
→ 一度摘発されると、金融ビジネスへの復帰はほぼ不可能になります。
まとめ:「登録が必要かわからない」は許されない時代へ
現在では、SNSやサロン、動画配信など誰もが情報発信できる時代です。
しかし、そこで有償で投資判断を提供すれば、立派な「金融商品取引業」に該当します。
「知らなかった」「教育のつもりだった」は、もはや言い訳になりません。