投資助言・代理業の登録要否は「何を言うか」ではなく「何を引き受けているか」で決まる
投資関連ビジネスにおいて最も多い誤解は、「どんな表現をしているか」「免責文言を入れているか」で登録要否が決まるという発想です。
実務上、投資助言・代理業に該当するか否かは、発言内容の言い回しではなく、事業者が顧客に対して何を“引き受けているか”で判断されます。
本稿では、登録要否の判断で必ず確認すべきポイントを、制度構造から整理します。
投資助言・代理業の基本構造
投資助言・代理業は、金融商品取引法上、次の二つの行為類型から構成されています。
- 投資助言業務(11号)
投資顧問契約に基づき、分析に基づく投資判断を提供する行為 - 投資顧問契約または投資一任契約の締結の代理・媒介(13号)
当該契約の成立に向けて、代理または媒介を行う行為
重要なのは、この二つはいずれも「契約」を起点に構成されているという点です。
登録要否は、助言内容そのものよりも、契約構造と役割分担から検討されます。
登録要否判断の核心は「投資判断を誰が引き受けているか」
実務上、判断を誤りやすいのが次の点です。
- 「これは単なる情報提供です」
- 「最終判断はお客様自身です」
- 「自己責任でお願いします」
こうした文言を置いても、事業者側が投資判断の前提となる分析・方向性を引き受けていれば、投資助言性は否定されません。
登録要否の検討では、次の問いが常に中心になります。
この事業者は、顧客の投資判断に対して、どこまで責任を引き受ける立場に立っているか。
銘柄、売買タイミング、数量、価格、方法など、
投資判断の要素の一部でも体系的・継続的に引き受けていれば、投資助言性は肯定方向で検討されます。
「無料」「一斉配信」「SNS」は免罪符にならない
登録不要論で頻出する主張に、次のようなものがあります。
- 無料だから問題ない
- 一斉配信だから個別助言ではない
- SNSやオンラインサロンだから助言ではない
しかし、実務上は形式ではなく経済的・機能的実態で判断されます。
特に次のような構造がある場合、登録要否は厳しく見られます。
- 無料配信を入口として、有料サービスに誘導している
- 継続課金と投資情報提供がセットになっている
- 実績提示や成功事例と助言が結び付けられている
「無料」「サロン」「コミュニティ」というラベルは、
登録判断において本質的な意味を持ちません。
投資助言・代理業と他業態の境界で必ず問題になる点
登録要否の検討では、次の三つの境界を必ず確認します。
① 投資助言か、単なる一般論か
市場解説、制度解説、教育目的の情報提供にとどまる場合は、直ちに投資助言とはなりません。
一方で、具体的な投資判断に結び付く内容を体系的に提供しているかが判断の分かれ目です。
② 助言か、販売・勧誘か
商品やファンドの取得を前提に、勧誘・媒介・募集の機能を果たしていれば、
投資助言・代理業ではなく、第一種・第二種等の検討領域に入ります。
③ 助言か、運用か
顧客の権限にアクセスし、実質的に取引執行に関与していれば、
投資一任(投資運用業)の問題になります。
特にツール提供・自動売買・システム連携型サービスでは、この線引きが最初に問題化します。
実務での結論:登録要否は「後から整える」ものではない
投資助言・代理業の登録要否は、
サービスを始めてから調整できる性質のものではありません。
理由は明確で、
- 契約構造
- 報酬体系
- 情報提供の粒度
- 顧客との関係性
これらが相互に連動して評価されるためです。
「グレーに見えるから走りながら考える」という判断は、
後になって業態そのものの作り直しを迫られるケースにつながります。
まとめ
投資助言・代理業に該当するか否かは、
- 何を言っているか
- どんな文言を入れているか
ではなく、
- 誰が投資判断を引き受けているのか
- どの契約関係の中で行われているのか
によって決まります。
登録要否の検討は、サービス設計の最上流で行うべき論点です。
投資関連ビジネスを検討する際は、表現論ではなく、制度構造からの整理が不可欠になります。

