株予約権付社債(CB)と大量保有報告
新株予約権は「潜在株」として当然にカウントされる
株予約権付社債(CB)を引き受けた場合、
大量保有報告書(変更報告書)の提出が必要になるかは、
実務でしばしば問題となります。
特に、
- 「社債だから株式とは違うのではないか」
- 「まだ新株予約権を行使していない」
といった理由から、
提出不要と誤解されるケースも見受けられます。
しかし、この理解は正しくありません。
新株予約権は「潜在株」として保有割合に含まれる
金融商品取引法上、
新株予約権は株券等に含まれる金融商品であり、
大量保有報告制度では
潜在的に株式に転換し得る数量として保有割合の算定に含める
という整理が採られています。
そのため、
- 株予約権付社債を引き受け
- そこに付属する新株予約権を取得した場合
- その潜在株数を既存の株式保有数と合算し
- 保有割合が1%以上増減するのであれば
→ 変更報告書の提出が必要となります。
「まだ行使していない」は関係ない
実務でよくある誤解として、
行使前だから、株式を持っているわけではない
という説明があります。
しかし、大量保有報告制度は
「現に株式を取得したか」ではなく、
「市場に影響を与え得る株式等をどれだけ支配しているか」
を基準としています。
そのため、
行使の有無にかかわらず、
新株予約権は潜在株として保有割合に算入されます。
CB引受は変更報告のトリガーになりやすい
すでに株式を保有している投資家が
CBを引き受ける場合、
- 株式
- 新株予約権(潜在株)
を合算すると、
1%以上の保有割合変動が生じるケースは珍しくありません。
この場合、
CBであること、社債であることを理由に
変更報告を省略することはできません。
まとめ
- 新株予約権は「潜在株」として保有割合に含まれる
- CBに付属する新株予約権も例外ではない
- 既存株式と合算して1%以上変動するなら
変更報告書の提出が必要
株予約権付社債だから特別、という整理はなく、
潜在株である以上、原則どおりカウントするということになります。
忘れがちな論点ですので、再掲いたしました。
お手続きのご依頼・ご相談
弊所では大量保有報告書の作成及び提出業務を行っています。
お手続きのご依頼・ご相談は、お問い合わせフォームよりお寄せください。

