株式交付制度とは?株式交換との違いを解説(M&Aにおける様々な子会社化スキーム)

2023/03/05その他

株式交付制度とは?株式交換との違いを解説(M&Aにおける様々な子会社化スキーム)

株式交付制度とは

株式交付制度とは

株式交付制度は、他社を子会社化するために支払う対価として、自社の株式を交付する制度で、令和3年3月1日施行の「会社法の一部を改正する法律案」で新たに創設されました。(会社法第三十二条の2)

第三十二の二 株式交付 株式会社が他の株式会社をその子会社(法務省令で定めるものに限る。第七百七十四条の三第二項において同じ。)とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付することをいう。

(会社法第三十二条の2)

M&Aにおける子会社化スキームの1つ

M&Aにおいて他社を子会社化するスキームには様々なスキームが存在します。現金による株式譲受、現金による第三者割当増資引受、株式交換等々あります。しかし現金による株式譲受、現金による第三者割当増資引受は手元に現金がないと実施できませんでした。

株式交換と株式交付の違い

手許現金を使用しない方法としては、従来は株式交換スキームがありました。株式交換は対象会社を完全子会社化(100%)するためのスキームで、子会社の株主に対して自社の株式を交付するスキームとなっています。

しかし株式交換はあくまでも対象会社を完全子会社化(100%)するためのスキームであるので、例えば対象会社株式の60%取得して子会社化することは株式交換では不可能でした。このような場合従来であると、対象会社株主による対象株式の現物出資スキーム等で対応してきたわけですが、その場合その株式の評価書を取得する等実務上の弊害が存在しました。

この弊害に対応するために株式交付制度が創設されました。株式交付制度は株式会社が他の株式会社を子会社化(100%でなくてもよい)するための制度です。

株式交付制度は、過半数の株式を取得して会社を子会社化する場合に対価として自社の株式を交付し(一部現金交付も可能)、対象会社を子会社化するためのスキームであり、自社は対象会社の株式を譲受し、代わりに対象会社株主に対価として自社株式を譲受するスキームになります。

株式交付スキームの流れ

株式交付のスキームの流れは以下になります。

  • 株式交付計画を作成する
  • 事前開示書類を備置く
  • 株主総会で計画の承認を得る
  • 反対株主の株式買取請求、債権者異議手続き
  • 株主へ通知・公告を行う
  • 株式の割当てと通知
  • 株式交付の効力発生
  • 事後開示書類を備置く

まとめ

  • 株式交付制度は完全子会社化以外の子会社化の場合に使われるスキームである。
  • 一部現金を対価とすることもできる
  • 株主総会で株式交付計画の承認を得る必要がある。

手続きのご依頼・ご相談

本日は株式交付制度について、株式交換との比較を交えながら解説いたしました。

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