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    特例業務における記録保存義務と実務上の留意点

    契約が終わっても義務は終わらない

    適格機関投資家等特例業務(以下、特例業務)は、届出によってファンドの私募や運用が可能になる制度ですが、契約終了=義務終了ではありません。

    ファンドが清算されたり、出資者が解約したりした後でも、一定期間は関連書類や記録を保存し続ける法的・実務的な義務があります。

    なぜ保存義務があるのか

    保存義務の根拠は以下のとおりです

    • 金融商品取引業等に関する内閣府令
    • 犯罪収益移転防止法(確認記録の保存)
    • 金融庁監督指針(出資者対応、監査・検査に備えた体制整備)

    特例業務は登録型ではありませんが、金融商品取引業者と同様の記録保存義務が課されていることを忘れてはいけません。

    保存対象となる主な書類

    契約終了後も保存が必要な主な書類は以下のとおりです。

    【契約関連】

    • 出資契約書(TK契約・LPS契約など)
    • 契約締結前・締結時の交付書面
    • 契約変更・解約時の覚書や通知文書

    【顧客管理】

    • 本人確認記録
    • 顧客管理票・顧客勘定元帳
    • 出資額・払込・分配・償還に関する記録

    【運用報告関連】

    • 運用報告書および交付履歴
    • 評価計算書や管理帳票
    • 議決・同意取得の履歴(組合員総会議事録等)

    保存期間の原則

    • 法令上の保存義務期間は原則として10年
    • 犯収法に基づく本人確認記録も、契約終了から7年間の保存が必要です
    • 税務上の帳簿書類は10年が一般的とされています

    ※「いつから数えるのか」は、契約終了日または最終出資者の償還日を起算点とするのが安全です。

    実務での保存方法と注意点

    【紙ベースの場合】

    • ファイルごとに年度別・出資者別にまとめる
    • 解約済の顧客は「完了ファイル」へ移管
    • 倉庫保存の場合は保管先管理台帳を別途作成

    【電子保存の場合】

    • フォルダ名に「ファンド名+契約終了日」を含める
    • PDFやスキャンデータは改ざん防止対策を施す(タイムスタンプ、アクセス制限等)
    • バックアップをクラウドと外部メディアの両方で取得することが望ましい

    よくあるミスとリスク

    よくある対応リスク
    解約後すぐに書類を破棄してしまう監督対応や投資家との紛争時に立証不能
    保存年限を把握していない書類廃棄のタイミングを誤り法令違反になる可能性
    電子データが社内サーバーのみサーバー故障・人為ミスによるデータ消失リスク

    まとめ

    特例業務では、契約が終了した後も、制度上の記録保存義務が一定期間続きます。運用が終わったあとの体制整備や保存方針も、制度運用の一部としてしっかり構築することが求められます。

    書類をきちんと保管しておくことは、ファンドの信用力維持だけでなく、今後の金融庁対応や投資家対応において自分自身を守る手段にもなります。