適格合併と非適格合併の違いとは?要件や税務上のメリットを解説

2024/05/28その他

適格合併と非適格合併の違いとは?要件や税務上のメリットを解説

適格合併であれば、譲渡損益の繰延や繰越欠損金を引き継ぐことにより、節税効果が期待できます。

このコラムでは、税法上のメリットが大きい適格合併について、非適格合併との違いやパターン別の要件について、わかりやすく解説していきます。

適格合併と非適格合併の違い

適格合併とは、税法上の要件を満たす合併のことです。

合併後も、事業活動を継続して行なっていると考えられるため、譲渡損益の繰延や繰越欠損金の引き継ぎが認められます。

一方、非適格合併とは、税法上の要件を満たさない合併のことを指します。

被合併会社において、合併前の事業年度で営業利益が生じる場合には、含み損と営業利益を相殺できる非適格合併の方がメリットが大きいケースもあります。

ただし、非適格合併の場合、税法上のメリットを受けることができないので、節税を考えるのであれば、適格合併の方がメリットが大きいといえるでしょう。

パターン別に見る適格合併の要件

適格合併の要件を、3つのパターンに分けて解説していきます。

 完全支配関係があるケース

親会社が子会社の株式を100%保有している場合、次の2つの要件を満たす必要があります。

① 銭等不交付要件② 継続保有要件

完全支配関係がある場合、合併の対価として、「合併法人株式」または「合併法人の完全親会社の株式」以外の金銭等が交付されないことが要求されます(金銭等不交付要件)。

また、合併対価である株式を、合併後も継続して保有し続けることも求められます(継続保有要件)。

 支配関係があるケース

親会社と子会社が親子関係になっている場合、上記の2要件に加えて、次の2つの要件を満たす必要があります。

③ 事業移転要件④ 事業継続要件

従業員の80%以上が合併後も業務に従事することが求められることに加えて(事業移転要件)、合併後も主要事業を継続することも求められます(事業継続要件)。

 支配関係がないケース

共同事業を営む場合など、支配関係がない会社が適格合併の要件を満たすためには、上記の4要件に加えて、さらに2つの要件を満たす必要があります。

⑤ 事業関連性要件⑥ 選択要件(「同等規模要件」と「双方経営参画要件」)

合併前の事業と合併後の事業に関連性があることに加えて(事業関連性要件)、「同等規模要件」もしくは「双方経営参画要件」のいずれかを満たす必要があります。

同等規模要件とは、従業員数や資本金等が合併前後で5倍を超えないことを求める要件です。

また、双方経営参画要件とは、「被合併法人の特定役員のうち1名以上」および「合併法人の特定役員のうち1名以上」が、合併法人において特定役員になることが見込まれることを求める要件です。

適格合併における税務上のメリット

適格合併では、「譲渡損益の繰延により法人税が課されない」「繰越欠損金を引き継ぐことができる」という2つの税務上のメリットがあります。

適格合併では、資産および負債を時価評価によって引き継ぐ非適格合併の場合と異なり、帳簿価額をもって合併後の会社に引き継がれるため、法人税が課税されません。

また、繰越欠損金を引き継ぐことにより、課税対象となる所得を減らすことができます。

まとめ

適格合併なら税制上大きなメリットがありますが、適格要件を満たすかどうかは、専門的な知識が必要になります。

適格合併を含む、ファンドの組成・スキーム検討等についてのご相談は、永田町リーガルアドバイザーまでお気軽にお問い合わせください。

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