GK-TKスキームにはライセンスが必要?第二種金融商品取引業との関係をわかりやすく解説
不動産や再生可能エネルギー設備の証券化でよく使われるGK-TKスキームですが、
「このスキームを使うだけであれば登録はいらないのでは?」という誤解がしばしば見受けられます。
本稿では、GK-TKスキームにおいてなぜ第二種金融商品取引業の登録が必要とされるのか、制度上の整理とともに実務的な判断基準を解説します。
■ GK-TKスキームの基本構造
- GK(合同会社):匿名組合の営業者(受け皿)
- TK(匿名組合):投資家が出資契約に基づいてGKに資金を拠出
- 出資対象:多くは不動産信託受益権や再エネ設備等
このスキームでは、GKが投資対象資産を保有・運用し、その成果に応じてTK出資者に分配がなされます。
■ なぜ「第二種金融商品取引業」の登録が必要になるのか?
匿名組合持分は、金融商品取引法上、「みなし有価証券」として扱われます(法第2条第2項)。
このため、以下の行為を行う場合には、原則として第二種金融商品取引業の登録が必要になります。
行為 | ライセンス要否 |
---|---|
匿名組合持分を自ら勧誘して販売する(自己募集) | 登録が必要(例外あり) |
第三者が勧誘・媒介を行う | 勧誘者に第二種業の登録が必要 |
勧誘先を適格機関投資家等に限定し、届出を行う | 届出によって登録を不要とする特例あり(63条の2) |
自己募集であっても、出資勧誘が継続的・反復的に行われる場合には業としての性質を帯び、登録が必要と判断されます。
■ 適格機関投資家等特例業務との違い
- 「登録」とは:金融庁の審査を経てライセンスを取得する制度(第二種業など)
- 「届出」とは:要件を満たせば財務局へ事前届出をする制度(例:適格機関投資家等特例業務)
GK-TKスキームを、たとえば適格機関投資家と49名以下の少数投資家に限定して勧誘し、
あらかじめ財務局に「適格機関投資家等特例業務」の届出を行うことで、登録を回避できるケースもあります。
[1] 匿名組合持分を募集・販売するか?
→ YES → [2] 誰が販売するか?
→ GK自身(自己募集)? 外部業者?
→ [3] 勧誘先の範囲は?
→ 適格機関投資家+49名以下?
→ YES → 届出制度の適用可能(登録不要)
→ NO → 第二種業の登録が必要
■ まとめ
GK-TKスキームは、構造自体が制度的に違法なわけではありません。
しかし、匿名組合持分の「私募・勧誘」が発生する以上、第二種金融商品取引業との関係は不可避です。
適法にスキームを組成・運用するためには、
- 勧誘対象の整理
- 届出制度の活用可否
- 勧誘主体の登録有無
を踏まえた上で、適切なストラクチャー設計が必要です。
永田町リーガルアドバイザー株式会社では、適格機関投資家等特例業務の届出支援などを行っています。
GK-TKスキームの導入をご検討の際は、制度適合性の観点からぜひご相談ください。