GKTKスキームとは?合同会社×匿名組合でファンドを設計する実務構造
なぜ「GKTKスキーム」が多用されているのか?
不動産や再生可能エネルギーなど、特定の事業資産を対象としたファンドスキームにおいて、合同会社(GK)と匿名組合(TK)を組み合わせた「GKTKスキーム」は、現在も実務の主流として広く採用されています。
この仕組みは、出資者にとっての有限責任構造の確保と、営業者にとっての機動的な意思決定と倒産隔離という二つの要請をバランスよく満たす点に特徴があります。
GKTKスキームの基本構造とは?
GKTKとは、以下のような2層構造をいいます。
- 合同会社(GK):事業運営の主体(営業者)として、匿名組合契約を締結する。
- 匿名組合(TK):出資者(匿名組合員)から資金を集め、GKに出資して事業を行う。
この仕組みにより、匿名組合員は合同会社の営業活動に直接関与せず、間接的に配当を受け取る立場になります。
GKTKの代表的な活用シーン
- 不動産証券化スキーム(いわゆるTMKよりも柔軟な設計が可能)
- 太陽光発電・風力発電など再エネ設備への事業投資
- 中小規模のプロジェクトファイナンス
特に、合同会社(GK)は設立・運営が簡易でありながら、株式会社と異なり柔軟な出資構造・意思決定権配分が可能なため、ファンドビークルとしての機動性に優れています。
GKTKの法的・税務的整理
項目 | 内容 |
---|---|
匿名組合の契約形態 | 商法535条に基づく二者間契約(営業者:GK/出資者:匿名組合員) |
GKの法人格 | 有(合同会社として法人登記) |
TK出資者の責任範囲 | 有限責任(営業者名義で事業遂行) |
税務(匿名組合員) | 配当金に対して源泉課税20.42%(雑所得/総合課税) |
税務(GK) | 法人課税対象。ただしTK収益は会計上はオフバランス処理されることが多い |
ファンド規制との関係 | 集団投資スキーム持分に該当し、第二種金融商品取引業または特例業務が必要 |
実務上のメリットと注意点
メリット
- 合同会社を用いた倒産隔離構造の構築が可能(SPC用途)
- 匿名組合契約により、出資者の関与は最小限
- 小規模でも柔軟に組成でき、監査や登記義務が緩やか
注意点
- 匿名組合の税務上は総合課税であり、高所得者には税負担が重くなる可能性
- 契約書の設計を誤ると、匿名性や責任限定が不完全になるおそれ
- 有価証券性が認められる場合、適切な金融商品取引法対応が不可欠
まとめ:GKTKは「使いこなせば強力なスキーム」
GKTKスキームは、少額のプロジェクトでも組成できる汎用性の高いファンドストラクチャーです。特に不動産・再エネ・M&Aファンドなど、資産の直接保有と運用が必要なファンドにおいては、今なお現役の実務標準といえます。
もっとも、法的整理や税務対応、そして金融商品取引法への適合性を確保しなければ、安易な導入はかえってリスクを招くおそれがあります。構成や契約の設計段階から、専門家による十分なレビューが必須です。