GP関連会社への投資はどこまで許されるか?LPS運営における利益相反管理の実務整理
投資事業有限責任組合(LPS)を運営する際、実務で繰り返し問題となるのが、
GP(無限責任組合員)と関係会社との取引です。
例えば、
- GPの役員が経営する会社の株式に投資する
- GPの親会社・子会社へ出資する
- GP関連会社が組合の投資対象会社となる
といったケースです。
制度上、これらが一律に禁止されているわけではありません。
しかし、許容されるからといって無条件に実行できるわけでもありません。
本稿では、LPSにおけるGP関連会社投資の法的整理と実務上の留意点をまとめます。
1. LPS法上の位置づけ
LPS法は、GP関連会社への投資を明示的に禁止していません。
したがって、条文上直ちに違法となるわけではありません。
しかし、LPS法は民法の規定を準用しており、
GPは組合員に対して善管注意義務を負います。
つまり、
自己または自己に近い主体との取引で、
組合の利益を害する行為は許されない
という一般原則が適用されます。
ここで問題になるのが、いわゆる利益相反構造です。
2. 双方代理の問題
GPが支配する会社との間で投資契約を締結する場合、
実質的に「双方代理」に近い構造になることがあります。
民法上、双方代理は原則として禁止されています。
完全に形式を整えたとしても、
- 実質的に同一意思決定主体か
- 条件が市場価格に照らして合理的か
が問われます。
3. 金融商品取引法との関係
GPが適格機関投資家等特例業務届出者である場合、
金融商品取引法第42条(忠実義務)、第42条の2(利益相反管理)等が適用されます。
行政処分事例では、
- GP役員が支配する会社との取引
- 投資者への十分な説明を欠く
- 市場価格より高値取得
といった事情を総合評価し、
忠実義務違反と判断されたケースがあります。
ポイントは、
形式ではなく、実質判断が行われる
という点です。
4. 自主規制規則との関係
投資運用業者が関与する場合、
日本投資顧問業協会の自主規制規則が問題になります。
会員または関係法人等が発行する有価証券の組入れは、
原則禁止とされています。
したがって、登録投資運用業者が関与するLPSでは、
GP関連会社投資はさらに慎重な検討を要します。
5. 実務上の整理方法
GP関連会社へ投資する場合、最低限整理すべき事項は次の通りです。
① 価格の合理性
第三者評価や市場価格との比較検証を行っているか。
② 投資家への開示
事前説明、契約書への明示、運用報告書への記載がなされているか。
③ 意思決定の独立性
利益相反を排除する体制が構築されているか。
④ 取引割合
ポートフォリオ全体に占める比率が合理的範囲か。
これらを欠く場合、
後から「実質的な自己取引」と評価されるリスクがあります。
結論
LPSにおけるGP関連会社投資は、
理論上可能であっても、実務上は慎重な設計を要します。
検討すべきは、
- 法令適合性
- 忠実義務との整合
- 投資家保護
- 開示の十分性
です。
条文に明示的禁止がないことと、
実務上安全であることは同義ではありません。
利益相反管理は、ファンドの持続性を左右するガバナンス上の核心論点です。

