SPC(特別目的会社)とは?GKが選ばれる理由とTMKとの違いを解説
資産の証券化やファンド組成の実務では、「SPC(特別目的会社)」という言葉が頻繁に登場します。
中でも、GK-TKスキームで使われる合同会社(GK)は、実務上の代表的なSPCです。
本稿では、SPCとはそもそも何か、GKをSPCとして利用する理由、そしてTMKとの違いについて制度的に明確な範囲で解説します。
■ SPC(特別目的会社)とは?
SPC(Special Purpose Company)とは、特定の資産を保有・管理・処分するなど、限られた目的のために設立される法人の総称です。
- 会社法上の明確な定義は存在せず、「実務用語」
- 証券化・ファイナンスの場面で、リスクの隔離・管理を目的に用いられる
- GKやTMKなど、法人格を有する形態が多い
金融商品取引業等に関する内閣府令第33条第2項では、「特定目的会社またはこれと同様の事業を営む事業体」がSPCに該当するとされています。
■ GK(合同会社)がSPCとして使われる理由
理由 | 解説 |
---|---|
設立が容易 | 登録免許税6万円。最短2~3日で設立可能 |
柔軟な定款設計 | 定款自治が広く、SPCに特化した機関構成が可能 |
維持コストが低い | 株主総会・公告義務なし。決算公告も不要(中小企業の場合) |
倒産隔離がしやすい | 一般社団法人を親会社とする構造により、経済的支配の遮断が可能 |
実務上は、定款で事業目的を制限し、業務執行社員の変更権限も限定することで「事業の安定性=倒産隔離性」を担保します。
■ TMKとの違いは?
TMK(特定目的会社)は、資産の流動化に関する法律(資産流動化法)に基づいて設立される法人です。
以下のような違いがあります。
比較項目 | GK(合同会社) | TMK(特定目的会社) |
---|---|---|
設立根拠 | 会社法 | 資産流動化法 |
設立難度 | 簡易(登記のみ) | 高度(事前届出・許可が必要) |
主な用途 | 私募型スキーム・少人数制 | パブリック型・大規模証券化 |
柔軟性 | 高い(定款次第) | 制度的に画一的な規制が多い |
税制 | 通常の法人税課税 | 要件を満たせばパススルー課税可(一定の税務特例) |
TMKは不動産流動化等の大型案件での活用が多く、GKは中規模以下のスキームや柔軟性重視の設計で好まれます。
■ まとめ
- SPCとは、証券化や資産流動化において、目的特化型で設計された法人の総称
- GKは、その中でも設立の容易さ・柔軟性・維持コストの低さから、実務で最も頻繁に使われる
- TMKは法定型であり、大規模かつ税務メリットを優先したいスキームで使われる別形態
GKを用いたSPCは、GKTKスキームのような民間私募型の資金調達スキームにおいて、現在の証券化実務の中核を担う存在です。
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