顧客管理票と勘定元帳の整備はなぜ必要か
顧客管理記録は義務です
特例業務における基本的な記録整備と運用方法
特例業務では届出後も記録の維持が必要です
適格機関投資家等特例業務を行う場合、ファンドの私募や運用に関して、金融商品取引業者に準じた義務が課されます。その中でも、顧客管理に関する記録の整備と保存は最も基本的かつ重要な対応事項です。
これは制度上の必須対応であり、記録が存在しない場合は適格機関投資家等特例業務にリスクが生じる可能性もあります。
管理すべき基本情報(実務整理)
以下のような項目をファンドごとに整理し、適切に保存しておく必要があります。
【顧客情報】
- 氏名・法人名
- 住所・連絡先
- 契約日
【投資家区分】
- 適格機関投資家または特例業務対象投資家の別
- 区分の確認記録
【本人確認】
- 本人確認書類の種類・実施日
- 担当者名
- 反社チェックの有無
【出資記録】
- 出資金額・払込日
- 分配額・払戻日
- 残高状況
【契約記録】
- 契約書の保管場所(紙または電子)
- 契約変更・解約の履歴
- 報告書交付の記録
Excelで記録する場合の実務ポイント
- 項目ごとに列を設定し、並べ替えや検索しやすくする
- 投資家区分や契約状態などは選択式で統一すると管理が楽になります
- ファイルはパスワード付きで保存し、外部送信は避けるのが望ましいです
- 毎月バックアップを取得し、ファイル名に日付を入れると履歴が明確になります
よくあるミスと対策方法
- 金額や日付が契約書と台帳で一致していない → 二重チェックの体制をとる
- 投資家の区分を間違える → 契約時点で確認して台帳にも反映させる
- 契約終了後にデータを削除 → 削除せずステータス欄を「解約済」に変更して保管する
まとめ
記録の整備は、適格機関投資家等特例業務を行う上での基本です。Excelなどの表計算ソフトで対応する場合でも、内容の正確性と保存体制が問われます。少人数制であっても制度上の義務を怠らず、記録を整えておくことがファンド運営の信頼性を支える要素となります。