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    匿名組合のライセンス要否と金融商品取引業との関係

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    1. ライセンスなしで匿名組合を組成できるのか

    過去には「親子会社間での匿名組合は無登録でも良い」「一度限りなら業に当たらない」といった見解も存在しました。しかし、現在の金融商品取引法の下ではほぼ例外なく規制対象です。

    • 証券取引法時代の発想
      当時は匿名組合の自己募集について「49名までなら業登録不要」という枠組みがあり、密接な当事者間での契約は規制外と整理されていました。
    • 現在の整理
      平成電電や近未来通信事件を経て、集団投資スキームの無登録営業が大きな社会問題となり、金融商品取引法で匿名組合持分の募集=証券取引業と明確化されました。その結果、親子会社間や単発の契約であっても、無登録での組成はリスクが高いとされています。

    実際、財務局による報告徴求や警告を受けた事例も多く、無登録スキームを正当化することは実務上困難です。

    2. 第二種金融商品取引業との関係

    匿名組合持分を投資家に募集する場合は、第二種金融商品取引業(7号・9号業務)に該当するのが原則です。
    特定の共同事業や不動産特定共同事業の許可を得ている場合など、一部の除外規定を満たせば登録が不要になるケースもありますが、匿名組合契約で除外規定を満たすのは難しいとされています。

    3. 投資運用業との関係

    出資金を営業者が直接事業に投資する場合には、原則として投資運用業の登録は不要です。
    しかし、出資金をさらに有価証券やデリバティブに再投資する場合には、集団投資スキームの運用に当たり、投資運用業の登録が必要となります。

    「事業投資だから運用業ではない」といった整理は、法令上認められていないため注意が必要です。

    4. 適格機関投資家等特例業務(いわゆるプロ向けファンド特例)

    一定の条件を満たせば、第二種金融商品取引業や投資運用業の登録なしでファンドを組成・運用することも可能です。具体的には

    • 投資家のうち1名以上が適格機関投資家であること
    • それ以外の投資家は49名以下に制限されること

    この枠組みを利用することで、匿名組合を含むファンドを柔軟に組成できる場合があります。ただし、実務では投資家層や勧誘方法を誤ると規制違反となるリスクが高く、慎重な運用が求められます。

    まとめ

    • 匿名組合は、無登録では組成できないと考えるのが実務の基本。
    • 募集行為は第二種金融商品取引業に該当し、出資金の再投資があれば投資運用業も必要となる。
    • 一定の条件を満たす場合に限り、適格機関投資家等特例業務を活用できる。

    匿名組合は事業型ファンドの「標準的な器」ですが、ライセンスの要否を誤ると違法リスクに直結します。したがって、組成段階で必ず金融商品取引業の登録要否を精査することが不可欠です。