大量保有報告制度における「共同保有者」はどこまで含まれるのか?実質共同保有とみなし共同保有の整理
大量保有報告制度で最も判断が難しい論点の一つが、「共同保有者に該当するかどうか」です。
財務局Q&Aでは、共同保有者を実質共同保有者とみなし共同保有者の二つに分けて整理しています。
本稿では、その構造をQ&A記載内容の範囲内で確認します。
1. 実質共同保有者とは何か
実質共同保有者とは、共同して株券等を取得・譲渡し、または議決権その他の権利を行使することを合意している者
を指します。
ここで重要なのは、
- 合意は書面である必要はない
- 口頭の合意も含まれる
とされている点です。
つまり、形式的な契約書の有無ではなく、
実態として共同で行動しているかどうかが判断基準になります。
ただし、共同保有の合意があったとしても、
当該合意に係る株券等を全く保有していない者は、
共同保有者には該当しないと整理されています。
2. みなし共同保有者の基本構造
みなし共同保有者は、
実際に合意の有無を問わず、
一定の支配関係・人的関係があることを理由に共同保有と扱われる者です。
Q&Aでは、代表的な類型として次の関係が挙げられています。
- 支配株主等(議決権50%超保有者)と被支配会社
- 同一の支配株主等を有する被支配会社同士
- 支配関係が連鎖する会社間の関係
- 夫婦
- 夫婦が合算して50%超の資本関係を有する場合
- 一定の親子会社関係(組合に関する規定)
これらは、
個別事情にかかわらず、制度上あらかじめ共同保有とみなされる関係です。
3. みなし共同保有者でも「除外」される場合がある
みなし共同保有者については、
すべてが無条件に合算対象となるわけではありません。
Q&Aでは、
単体株券等保有割合が一定以下の場合には除外される
という整理も示されています。
- 内国法人の発行する株券等の場合
- 外国の者の発行する株券等の場合
で基準が異なる点も含め、
数量基準による除外規定が置かれています。
このため、
「みなし共同保有に該当する関係がある」
=
「必ず合算しなければならない」
とは限らない点には注意が必要です。
4. 実務上の注意点
共同保有の判断では、
- 名義
- 契約書の有無
- グループ会社かどうか
といった単一の要素だけで結論を出すことはできません。
Q&Aの整理に沿えば、
次の順序で確認することになります。
- 実態として共同取得・共同行使の合意があるか
- 制度上、みなし共同保有に該当する関係か
- 除外規定に該当しないか
この三段階を踏まえた上で、
初めて「共同保有者に該当するか」の判断に至ります。
まとめ
- 共同保有者には
実質共同保有者とみなし共同保有者がある - 書面の有無ではなく、実態と関係性が重視される
- みなし共同保有であっても、数量基準により除外される場合がある
共同保有の判断は、
大量保有報告制度全体の中でも、
最も影響範囲が広く、かつ誤解されやすい論点です。
提出要否や変更報告の判断に入る前に、
まず「誰と誰を合算するのか」を正確に整理することが、
制度理解の出発点となります。
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