大量保有報告書における「発行済株式総数等」はどう決めるのか
大量保有報告制度では、「5%」「1%」といった数値が強調されがちですが、
その前提となる発行済株式総数等をどう捉えるかは、意外と誤解されやすいポイントです。
本稿では、財務局Q&Aの記載に基づき、
保有割合算定の分母となる発行済株式総数等の考え方を整理します。
1. 原則は「報告義務発生日時点の発行済株式総数等」
財務局Q&Aでは、株券等保有割合を算定する際の分母について、
原則として、報告義務発生日の発行済株式等総数を用いる
と整理されています。
したがって、
- 取得日
- 売却日
- 名義書換日
ではなく、「報告義務が発生した日」時点の発行済株式等総数を基準にする、
というのが基本ルールです。
2. 発行済株式総数が分からない場合の扱い
実務では、取得直後などで正確な発行済株式総数が把握できないケースもあります。
この点について、Q&Aでは、次の資料に記載された数値を用いても差し支えないと整理されています。
- 直前期の有価証券報告書
- 直近の半期報告書
- 金融商品取引所の規則に基づき公表されている情報
- 直近の商業登記簿等に記載・記録された情報
つまり、必ずしも「当日現在の完全な最新数値」でなければならないわけではないという点が示されています。
3. 株式分割・株式併合が未効力の場合の考え方
発行者が、
- 株式分割
- 株式併合
を決議しているものの、まだ効力が発生していない場合についても、Q&Aで整理があります。
この場合、発行済株式等総数は、
- 株式分割の場合:権利落日に増加したもの
- 株式併合の場合:権利落日に減少したもの
とみなして記載することになります。
実際の効力発生日と、市場実務上の基準日がズレる点には注意が必要です。
4. 自己株式や議決権のない株式も「総数」に含まれます
発行済株式等総数は、
- 議決権のない優先株式
- 自己株式
も含めた、会社が発行している株式の総数とされています。
「議決権がないから除外されるのではないか」
「自己株式は分母から外すのではないか」
といった誤解が生じやすいですが、分母には含まれる点が明確に整理されています。
5. 実務上の整理
財務局Q&Aに基づく整理をまとめると、次のとおりです。
- 分母は「報告義務発生日の発行済株式等総数」
- 不明な場合は、有報・半期報告書・登記情報等を参照してよい
- 分割・併合は、効力発生前でも権利落日基準で調整する
- 議決権の有無や自己株式は、分母計算上は区別しない
まとめ
大量保有報告制度では、保有割合そのものよりも、
「何を分母にしているか」が判断結果を左右する場面が少なくありません。
発行済株式総数等の捉え方は、報告要否・変更報告の要否を検討する際の前提条件です。
割合の数字だけを見る前に、まず分母が正しいかを確認する。
それが、実務上の基本動作といえます。
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