大量保有報告書は「誰が・どこに」提出するのか
大量保有報告書の作成実務では、
「内容」や「提出期限」に目が向きがちですが、提出先の整理も軽視できません。
とくに、提出者の所在地変更や非居住者が絡むケースでは、判断を誤ると形式不備となるおそれがあります。
本稿では、財務局Q&Aを踏まえ、EDINET提出における提出先(管轄)の考え方を実務目線で整理します。
1. 大量保有報告書はEDINET提出が前提です
大量保有報告書、変更報告書、訂正報告書は、
すべて電子開示システム(EDINET)による提出が義務付けられています。
紙媒体での提出は制度上想定されておらず、
郵送や持参による提出は受理されません。
したがって、
「どの財務局に提出するのか」という問題は、
EDINET上でどの提出先を選択するかという実務問題に置き換わります。
2. 提出先は「発行会社」ではなく「提出者」で決まります
大量保有報告書の提出先は、
株券等の発行者の所在地ではありません。
基準となるのは、あくまで大量保有者(提出者)側の所在地です。
具体的には、次のように整理されます。
- 提出者が国内居住者の場合
→ 本店または主たる事務所の所在地
(個人の場合は住所または居所)
を管轄する財務局等 - 提出者が非居住者の場合
→ 関東財務局
この点を誤り、
「上場会社が東京だから関東財務局」と短絡的に判断してしまうケースは少なくありません。
3. 所在地変更があった場合の変更報告書の提出先
大量保有者が住所や本店所在地を変更した場合、
その変更自体が変更報告書の提出事由となります。
この場合、
変更報告書の提出先は変更前の管轄ではなく、変更後の所在地を管轄する財務局等となります。
提出先が切り替わる点は、
初回提出時よりもむしろ見落としやすいポイントです。
4. 代理人による提出と委任状の位置づけ
大量保有報告書は、
代理人による提出も可能です。
ただしその場合、
提出に関する一切の行為を代理する権限を付与したことを証する書面(委任状)の写しを
EDINET上で添付する必要があります。
変更報告書については、
- 直前の報告書に添付した委任状と内容が同一であれば、
再添付を省略できる場合がある
という整理もされていますが、
委任関係に変更がないかは毎回確認が必要です。
5. 媒介書面は「非縦覧書類」として扱います
金融商品取引業者等を除き、
取引の媒介・取次ぎ・代理を行う者がいる場合には、
媒介書面の添付が必要となるケースがあります。
この書面は、
非縦覧書類として提出され、
EDINET上で一般公開されるものではありません。
「提出は必要だが、公衆縦覧には供されない」という位置づけを正確に理解しておく必要があります。
6. 実務上の結論
EDINET提出に関する実務では、
- 提出先は発行会社基準ではなく、提出者基準
- 所在地変更があれば、提出先も切り替わる
- 代理提出・媒介関係は、添付書類の要否まで含めて確認
という整理が不可欠です。
大量保有報告制度は、
「内容」「期限」「提出方法」のいずれか一つでも欠けると、
形式的な不備として問題化します。
その意味で、
提出先の判断は、単なる事務作業ではなく制度理解そのものといえます。
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