投資事業有限責任組合におけるGP/LPの役割とリスク管理
1. GPとLPの基本的立場
LPSは「有限責任組合員(LP)」と「無限責任組合員(GP)」で構成されます。
- GP(General Partner):業務執行権を持ち、組合の代表として対外的に無限責任を負う。
- LP(Limited Partner):出資者として出資額の範囲で責任を負うにとどまり、通常は業務執行に関与しない。
この二層構造が、投資家保護と運営者の責任集中を両立させています。
2. GPの責務とリスク
- 業務執行権限の集中:投資案件の選定、投資先管理、EXIT戦略の決定などを一手に担う。
- 無限責任:組合債務に対して全面的な責任を負うため、GPの信用力・内部統制の整備は不可欠。
- コンプライアンスリスク:金融商品取引法上の登録(第二種金融商品取引業・投資運用業)を前提に、投資家保護義務や分別管理を徹底する必要がある。
3. LPの立場と制約
- 限定責任:出資額を超えて損失を負担することはない。
- 業務執行への関与制限:もしLPが実質的に業務執行に関与すると、有限責任が崩れ、対外的責任を問われるリスクがある。
- 情報アクセス権:契約に基づきGPからの定期報告を受けるのが通常で、投資判断や監督は間接的に行われる。
4. 実務上のリスク管理ポイント
- GPの選定:投資家(LP)にとって最重要事項。信用力・運営実績・内部管理体制を精査する必要がある。
- 契約条項の明確化:LPの情報提供権、報告義務、利益分配ルールを契約に明文化する。
- コンプライアンスと内部統制:GPは業規制の対象として、分別管理・利益相反管理・ファンド監査を実務的に運用することが求められる。
5. 匿名組合との比較で見える特徴
- 匿名組合では営業者に責任が集中し、匿名組合員は外部に出ない。
- LPSでは制度上、GPの責任とLPの保護が明文化されているため、VCやPE投資といった外部投資家を多数募るスキームに適している。
まとめ
- GPは権限と責任を集中して担う存在であり、その適格性がファンド全体の成否を左右する。
- LPは出資者として限定責任を享受するが、業務執行に関与すれば責任が拡大するリスクがある。
- 実務では、GPのガバナンス・内部統制・ライセンス管理と、LPとの契約上の権利義務整理が安定運営のカギとなる。