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    投資事業有限責任組合がFXや仮想通貨取引に投資できるのか?

    FX取引を対象とする投資事業有限責任組合は設立できるか

    弊社によく来る質問として、FX取引を対象とする投資事業有限責任組合を設立できるのか?というのがあります。その可否について、以下検討します。

    投資事業有限責任組合(LPS)の投資対象

    投資事業有限責任組合の投資対象は、株式、新株予約権、社債、貸付債権、匿名組合出資、工業的所有権、投資事業有限責任組合出資等に制限されます。(投資事業有限責任組合法3条1項)。

    FX取引とは

    FX取引とは「外国為替証拠金取引」の通称です。外国為替証拠金取引は、証拠金を差し入れて、日本円と米ドルなど、2つの国の通貨の為替相場を予測して売買を行う金融商品です。外国為替を英語で“Foreign Exchange”と表すことに由来して、外国為替証拠金取引は、通称、「FX」などと言われます(金融庁HP「外国為替証拠金取引について」令和2年2月21日参照)。

    FX取引は、先物取引・先渡取引・オプション取引に区分される

    FX取引は、現物取引の対象となる資産を「原資産」とする先物取引、先渡取引(金融商品取引法第2条21項1号及び22項1号)と、オプション取引(金融商品取引法第2条21項 3号及び22項3号)に区分されます。

    (定義)
    第二条 この法律において「有価証券」とは、次に掲げるものをいう。
    21 この法律において「市場デリバティブ取引」とは、金融商品市場において、金融商品市場を開設する者の定める基準及び方法に従い行う次に掲げる取引をいう。
    一 売買の当事者が将来の一定の時期において金融商品及びその対価の授受を約する売買であつて、当該売買の目的となつている金融商品の転売又は買戻しをしたときは差金の授受によつて決済することができる取引

    三 当事者の一方の意思表示により当事者間において次に掲げる取引を成立させることができる権利を相手方が当事者の一方に付与し、当事者の一方がこれに対して対価を支払うことを約する取引
    イ 金融商品の売買(第一号に掲げる取引を除く。)
    ロ 前二号及び次号から第六号までに掲げる取引(前号又は第四号の二に掲げる取引に準ずる取引で金融商品取引所の定めるものを含む。)

    22 この法律において「店頭デリバティブ取引」とは、金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う次に掲げる取引(その内容等を勘案し、公益又は投資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるものを除く。)をいう。
    一 売買の当事者が将来の一定の時期において金融商品(第二十四項第三号の三及び第五号に掲げるものを除く。第三号及び第六号において同じ。)及びその対価の授受を約する売買であつて、当該売買の目的となつている金融商品の売戻し又は買戻しその他政令で定める行為をしたときは差金の授受によつて決済することができる取引

    三 当事者の一方の意思表示により当事者間において次に掲げる取引を成立させることができる権利を相手方が当事者の一方に付与し、当事者の一方がこれに対して対価を支払うことを約する取引又はこれに類似する取引
    イ 金融商品の売買(第一号に掲げる取引を除く。)
    ロ 前二号及び第五号から第七号までに掲げる取引

    デリバティブ取引

    FX取引は、先物取引、先渡取引及びオプション取引に該当しますが、それらの取引はデリバティブ取引と定義されます(金融商品取引法第2条20項)。

    金融理論におけるデリバティブとは、より基本的な資産や商品などから派生した資産あるいは契約である。金融派生商品とも言われる。 デリバティブとは、基礎となる金融商品の変数値によって、相対的にその価値が定められるような金融商品をいう。

    デリバティブ – Wikipedia

    (定義)
    第二条 この法律において「有価証券」とは、次に掲げるものをいう。
    20 この法律において「デリバティブ取引」とは、市場デリバティブ取引、店頭デリバティブ取引又は外国市場デリバティブ取引をいう。

    FX取引を主な投資対象とすることは不可

    デリバティブ取引であるFX取引が投資事業有限責任組合の投資対象になるのか検討してみます。上述のとおり、投資事業有限責任組合の投資対象は、株式、新株予約権、社債、貸付債権、匿名組合出資、工業的所有権、投資事業有限責任組合出資等になります(投資事業有限責任組合法3条1項)。
    投資事業有限責任組合法3条1項においては「デリバティブ取引」に関して投資対象に含まれておりません。したがってFX取引を主な投資対象にすることは出来ないと考えられます。

    リスクヘッジ目的の取引であれば可能

    しかしながら、デリバティブ取引には例えば外国法人株式の取得が外貨建てであり、その為替リスクをヘッジする目的でデリバティブ取引をおこなうケース等が存在します。そのようなケースの取り扱いについて検討します。
    投資事業有限責任組合のデリバティブ取引に関しては、「投資事業有限責任組合に関する最近の問い合わせ事例に対するFAQ集(経済産業省平成23年4月)」において、デリバティブ取引を主たる目的として投資事業有限責任組合の主目的として組合事業を行うことは出来ないが、投資対象を補完し又は一体不可分として行うリスクヘッジ目的の取引であれば可能と回答されています。

    まとめ

    本日は投資事業有限責任組合(LPS)のFX取引の投資の可否について検討しました。要点は以下になります。

    • 投資事業有限責任組合の投資対象にFX取引は規定されていない。
    • FX取引はデリバティブ取引である。
    • デリバティブ取引はヘッジ取引の範囲に限定して取引可能である。

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