投資助言・代理業の登録要否は「行為」ではなく「ビジネスモデル」で決まる
投資助言・代理業に関する相談で特徴的なのは、
「この行為は大丈夫か」「この発言はアウトか」といった点の議論が先行しがちな点です。
しかし、金融商品取引法の実務では、
単発の行為ではなく、ビジネスモデル全体がどのような構造になっているか
という視点で登録要否が判断されます。
本稿では、投資助言・代理業の該当性が、
なぜ「言動」ではなく「モデル設計」で決まるのかを整理します。
投資助言・代理業は「役割分担」を規制する制度
投資助言・代理業の制度趣旨は、
投資の世界における役割分担の明確化にあります。
具体的には、
- 誰が投資判断を担うのか
- 誰が顧客の意思決定を支える立場に立つのか
- 誰が責任を負うのか
という点を、契約関係と業態として固定することに意味があります。
そのため、
「何を言ったか」「どんな表現をしたか」よりも、
事業者がどの役割を引き受けているかが判断の中心になります。
登録要否は“サービス単体”では判断できない
実務で見落とされがちなのが、
投資助言・代理業の該当性は、単一のサービス単位では完結しないという点です。
次のような組み合わせが、よく問題になります。
- 無料の情報発信
- 有料の会員サービス
- 個別相談
- ツール提供
- コミュニティ運営
それぞれを個別に見ると「助言ではなさそう」に見えても、
全体として投資判断を支える仕組みが構築されていれば、評価は変わります。
登録要否は、
「この部分だけ切り出して見れば問題ない」という発想では整理できません。
投資助言・代理業と評価されやすいモデルの共通点
実務上、投資助言・代理業として評価されやすいビジネスモデルには、
次の共通点があります。
① 投資判断が“商品化”されている
投資判断そのもの、またはその前提となる分析・方向性が、
- 会費
- 月額課金
- 情報利用料
といった形で、対価の対象になっている場合、
助言業務として整理されやすくなります。
ここで重要なのは、
「判断そのものに値段を付けているかどうか」という点です。
② 顧客の投資行動が前提に置かれている
サービスの説明や構成が、
- 実際に投資すること
- 売買を行うこと
- ポジションを持つこと
を前提として設計されている場合、
事業者は投資判断を前提とした役割を引き受けていると評価されます。
これは、教育・情報発信との決定的な違いです。
③ 継続的に判断を支える関係が構築されている
単発の情報提供ではなく、
- 定期配信
- フォローアップ
- 継続的な解説や方向修正
が組み込まれている場合、
投資判断を継続的に支援する立場に立っていると見られます。
この「継続性」は、登録要否を左右する重要な要素です。
逆に、助言に該当しにくいモデルの特徴
一方、次のような特徴を持つモデルは、
直ちに投資助言・代理業として整理されるものではありません。
- 投資行動を前提としない一般的・教育的内容
- 市場構造や制度の解説にとどまる情報提供
- 投資判断の方向付けを行わない設計
- 顧客の意思決定に関与しない立ち位置
ポイントは、
「顧客の投資判断を支える役割に入っていないこと」です。
実務上の注意点、モデル変更が最も危ない
登録要否の問題は、新規事業よりも、
- 有料化
- サービス統合
- 付加価値追加
といったモデル変更のタイミングで顕在化することが多くあります。
当初は問題なかった構造が、
少しずつ投資判断に近づき、
気づいたときには投資助言業の要件を満たしている、
というケースは珍しくありません。
まとめ
投資助言・代理業の登録要否は、
- どんな言葉を使っているか
- どんな免責を置いているか
ではなく、
- どんなビジネスモデルを構築しているか
- 顧客の投資判断に対して、どの役割を引き受けているか
という構造で決まります。
サービス設計や事業拡大の場面では、
個別行為ではなく、モデル全体を制度に当てはめて点検する視点が不可欠です。

