投資運用業の登録申請について
投資運用業の登録要件や申請の流れを簡単に解説
投資運用業とは、「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて、 有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、 金銭その他の財産の運用を行うこと」を指します(金商法第2条第8項12号イ)。
このコラムでは、投資運用業の登録要件および登録申請の流れについて、わかりやすく解説します。
投資運用業の登録要件
投資運用業の登録要件は、大きく次の4つの要件に分類することができます。
・組織要件・財産要件・事務所(場所)の要件・人的構成要件 |
組織要件
①「株式会社」であること→個人や合同会社との他の法人格では要件を満たしません ②「取締役会設置会社」であること →取締役会設置会社なので、最低でも取締役3名および監査役1名以上が必要となります(なお、投資運用業者においては、取締役・監査役の任期伸長は認められていません) ③定款の目的欄に「投資運用業」等の記載があること |
財産要件
①「資本金」および「純財産額」が 5,000万円以上であること→申請時点で、会社謄本(履歴事項全部証明書)で資本金要件を確認します→5,000万円ちょうどで設定した場合、純財産額要件に抵触し、監督処分の対象となる可能性があります ②決算内容・決算見込みが良好であること(経営状況の安定性)→明確な基準はないが「債務超過」や「連続赤字決算」等、経営状況が思わしくない場合には、金商業者の財産基盤としてふさわしくないと判断されるケースがあります |
事務所(場所)の要件
①事務所の使用権限を有していること・賃貸の場合:賃貸借契約書の有効性(名義、使用用途、契約期間等)・転貸の場合:所有者の承諾の有無、適切な権限の流れが客観的に確認できるか ・所有の場合:事業用に使用できる物件か など ②物理的な独立性を確保できていること(独立した区画を登録申請者1社で占有できているかどうか) →登録申請時に、「役職員の名入り配席図、事務所平面図」などを提出するNG例:シェアオフィス、バーチャルオフィス、パーテーションで区画しただけの他社共有オフィスなど |
人的構成要件
適切な業務を行うための体制が整っているかどうか ・経営者(代表取締役)→投資運用業者としての業務を公正かつ的確に遂行できる資質を有しているか ・常務に従事する役員→金商法等の関連諸規制や監督指針に関する知識・経験を有し、公正かつ的確な業務遂行を行えるかどうか ・資産運用担当者→資産運用を行う者として、適切な知識・経験を有する者が確保されているかどうか ・コンプライアンス担当者→資産運用部門とは独立してコンプライアンス部門(担当者)が設置されているかどうか ・内部管理担当者→対象業務の適確な遂行に必要な人員が各部門に配置され、内部管理等の責任者が適正に配置される組織体制、人的構成が整備されているかどうか など |
登録申請の流れ
東京財務事務所を例に、登録申請の流れを確認していきます。
登録手続き開始⬇︎東京財務事務所面談⬇︎関東財務局による申請前書類審査⬇︎申請⬇︎登録完了⬇︎登録通知書受領⬇︎協会等入会手続き⬇︎変更届提出 |
準備期間は平均で4ヶ月〜1年程度、申請から登録完了までは1〜2ヶ月程度となります。
登録申請をスムーズに行うためには、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の内容を充実させておくことが重要です。
まとめ
このコラムでは、投資運用業の登録要件や登録申請の流れについて解説しました。
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