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            暗号資産×企業財務

            近年、暗号資産は企業の財務戦略において注目を集めています。

            特にビットコイン(BTC)は「デジタルゴールド」としての地位を確立しつつあり、資産保全やインフレヘッジの観点から、上場企業や機関投資家による保有が拡大しています。

            本記事では、日本と米国の企業による暗号資産の活用状況を比較し、そのメリットや課題、今後の展望について解説します。

            日本の企業による暗号資産活用

            日本企業における暗号資産の財務戦略活用は、米国と比較するとまだ限定的ですが、一部の企業が先進的な取り組みを進めています。

            その代表的な事例がメタプラネット社(東証スタンダード上場、証券コード3350)です。

            同社は2024年からビットコインを戦略資産として継続的に購入しており、2024年末時点で保有するビットコインは1,761 BTCに達しました。取得総額約1.37億ドルに対し、評価額は約1.73億ドルとなり、含み益は3,600万ドル(約54.6億円)に上っています。

            この動きは、2024年の純利益を大きく押し上げ、メタプラネット社の株価はビットコイン大量保有戦略を背景に急騰しました。結果として、2024年には世界の上場企業55,000社の中でトップクラスの株価上昇率(年間+64%)を記録しました。

            同社は、社債発行や増資を通じて資金調達を行い、それをビットコイン購入に充てる計画です。2025年末までに1万BTC、2026年末までに2.1万BTCを保有するという大胆な目標を掲げており、「日本版マイクロストラテジー」とも言える戦略を採用しています。

            他の日本企業では、ここまで踏み込んだ事例はまだ少ないものの、少額ながら暗号資産を財務資産として組み入れる動きや関連ビジネスへの参入が進みつつあります。例えば、大手金融機関のSBIホールディングスは自社でマイニング事業を展開し、ビットコインを獲得。GMOインターネットも海外でマイニング事業を手掛けています。また、一部のベンチャー企業や中小上場企業が自己資金の一部をビットコインに投資し始めたとの報道もあります。

            しかし、多くの日本企業は、暗号資産のボラティリティを懸念し、本格的な財務資産としての導入には慎重のようです。日本の会計基準では、暗号資産は活発な市場が存在する場合は、四半期ごとに市場価格を基準に評価を行い、評価益・評価損の両方を計上することが求められます。そのため、企業が導入する暗号資産は流動性の高い主要な暗号資産に限られると考えられます。

            今後暗号資産が金融商品として認定される可能性があり、税務上の扱いが緩和されれば、日本企業の参入意欲が高まることが期待されます。

            政府の動向としても、経済産業省や自民党が企業によるトークン発行や保有の環境整備を進める方針を打ち出しており、メタプラネット社のような先行事例が増える下地が整いつつあります。

            米国の企業による暗号資産活用

            米国では、日本以上に上場企業によるビットコイン保有の事例が多く見られます。

            最も有名なのがストラテジー社(Strategy)で、2020年以降、自社資産を用いた継続的なビットコイン購入を行っています。同社の2024年末時点でのビットコイン保有残高は444,262 BTCに達し、時価総額は約420億ドル(約5.5兆円)にも上ります。

            これは単一企業として世界最大のビットコイン保有量です。

            マイクロストラテジー社は、ビットコイン購入資金を調達するために社債発行や株式の追加発行を実施しており、「事実上のビットコインETF」のような存在となっています。この戦略により市場の支持を得ており、同社の株価は2024年に約5倍に急騰し、ナスダック100指数の構成銘柄に選出されるまでになりました。

            また、テスラ社は2021年に15億ドル相当のビットコインを購入し話題となりました。その後、一部売却したものの、現在も約1万BTC(評価額8億ドル超)を長期保有しています。さらに、決済企業ブロック社(旧スクエア)も数千BTCを保有しており、CEOジャック・ドーシー氏はビットコイン推進派として知られています。

            このように、米国ではIT・テクノロジー企業を中心に暗号資産を財務資産として組み入れる動きが広がっており、ギャラクシー・デジタル社やエナジー企業のアカー社などもビットコインを自社バランスシートに組み込んでいます。一部の金融機関(フィデリティなど)も、試験的にビットコイン現物やマイニング企業の株を保有し、「現金や国債だけでなく、ビットコインも一部保有する」というハイブリッド財務戦略が認知され始めています。

            2024年のビットコイン価格上昇によって、マイクロストラテジー社やメタプラネット社の成功例が示すように、暗号資産を財務戦略に組み入れることのインパクトが実証されつつあります。今後、会計基準の改善(米国では2023年に公正価値評価が容認)やETF普及による安心感の向上が進めば、一般企業の参入が増加する可能性があります。

            まとめ

            日本・米国ともに、暗号資産を財務戦略に活用する企業が増えています。日本では、会計・税務上の課題が参入のハードルとなっていますが、メタプラネット社のような先進的な取り組みが注目を集めています。

            一方、米国では、マイクロストラテジー社を筆頭に、暗号資産を積極的に保有する企業が市場の支持を受けています。今後、規制や税制が整備されることで、さらに多くの企業が暗号資産を戦略資産として活用する可能性があります。

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