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    特例業務は届出して終わりではありません。運用報告書と記録義務をめぐる実務対応

    特例業務は届出後の運用が重要です

    適格機関投資家等特例業務(63条業務)は、届出だけでファンドの私募・運用が可能になる制度です。しかし、届出さえ完了すれば自由にファンドを運営できるわけではありません。

    運用開始後には、金融商品取引業者に準じた行為規制が課されており、特に以下の2点が重要です。

    ・運用報告書の作成と出資者への交付
    ・契約書や顧客情報の記録保存義務

    これらを怠ると、制度違反として警告や業務改善命令などの行政処分につながるリスクがあります。

    運用報告書の作成と交付

    出資者に対して、ファンドの運用状況や分配実績などを記載した「運用報告書」を定期的に作成・交付することが求められます。

    【対象】
    適格機関投資家および特例業務対象投資家(49名以内のセミプロ投資家)

    【頻度】
    年1回以上。契約内容によっては半期または四半期報告も可。

    【内容の例】
    ・ファンドの運用資産の概要と評価額
    ・分配実績と残高の推移
    ・手数料や経費の支出内容
    ・重要な投資判断やリスクの説明など

    報告書はPDFや印刷物などで出資者に交付し、その交付履歴や控えも保存する必要があります。

    記録義務と保存書類

    ファンド運営者は、以下のような書類を契約終了後も保存しておく義務があります。

    【保存が求められる主な書類】

    ・契約締結前交付書面と契約締結時交付書面
    ・出資契約書(TK契約・LPS契約等)
    ・出資者ごとの顧客管理台帳や確認記録
    ・運用明細や分配記録
    ・出資額、入金・償還記録などの帳簿類

    【保存期間の目安】

    ・契約終了後10年間
    ・出資者への説明責任と、後日の監査や調査への備えとしても必須です

    行政処分事例も存在します

    実際に、運用報告書を長期間交付していなかった特例業務届出者に対して、財務局が業務改善命令や社名公表を行った例があります。

    また、顧客管理票や契約関連書類が未整備であったことが指摘され、コンプライアンス体制の不備として処分された事例もあります。

    実務者の対策ポイント

    ・契約段階で「報告義務の内容と頻度」を明記しておく
    ・Excelでも構いませんので、年1回は運用内容を整理して保存
    ・報告書の交付日時や配信方法を記録として残す
    ・顧客情報や出資履歴の台帳を日常的に更新・管理する

    まとめ

    適格機関投資家等特例業務は、簡便な届出制度でありながら、運用開始後は金融商品取引業者に準じた義務を果たす必要があります。

    とくに、出資者に対する運用報告と、契約や勧誘の履歴管理は、制度の信頼性を支える重要な要素です。

    「届出したから終わり」ではなく、「運用中も透明性と説明責任を果たす」体制づくりが、良質なファンド運営に直結します。