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    第三者割当増資と臨時報告書提出義務

    有利発行

    第三者割当増資を行う際に注意すべき論点の一つが「有利発行」です。
    有利発行とは、新株発行を行う際に、引受人にとって特に有利な価格で発行を行うことをいいます。

    例えば、本来の株式価値が1,000円の株式を100円で発行した場合、引受人が900円得をすることになり、
    言い換えれば既存株主が損をすることになります。
    このような有利発行に対しては、会社法および税法でそれぞれ規制が設けられています。

    会社法における手続

    会社法では、募集株式の払込価額を時価より低い金額(特に有利な価額)で発行する場合、
    公開会社・非公開会社を問わず、株主総会の特別決議が必要とされています。

    特別決議を経ずに特に有利な価額で発行を行った取締役は、
    公正な払込金額との差額について会社に対して損害賠償責任を負います。

    また、取締役と通謀して著しく不公正な払込金額で募集株式を引き受けた株主は、
    公正な払込金額との差額に相当する金額を支払う義務を負います。

    上場会社については、日本証券業協会「第三者割当増資の取扱いに関する指針」(2010年4月1日公表)に沿って、
    取締役会の発行決議日の直前日株価に0.9を乗じた額、
    または最長6か月前から直前日までの期間の株価平均に0.9を乗じた額以上の価額での発行であれば、
    有利発行に該当しないとされています。

    税務上の取扱い

    税務上、第三者割当増資は、対象会社において資本等取引に該当します。
    したがって、有利発行の場合であっても、原則として課税関係は発生しません。

    一方で、株式の引受人においては、有利発行に該当する場合、
    時価と払込価額の差額が課税の対象となります。

    具体的には、

    • 引受人が個人の場合:一時所得(役員・従業員の場合は給与所得または退職所得)
    • 引受人が法人の場合:受贈益課税

    有利発行に該当する場合、引受人が個人・法人のいずれであっても課税が生じます。

    なお、会社法上の有利発行決議を経たとしても、税務上の有利発行に該当しないということはありません。
    両者は全くの別概念として検討する必要があります。

    まとめ

    有利発行は、会社法上は既存株主保護の観点から特別決議を要する行為であり、
    税務上は引受人側で課税関係が発生する行為です。
    法的・税務的観点が異なるため、発行価額の設定や意思決定手続を慎重に行う必要があります。