第二種金融商品取引業者によるTK出資の私募とは?適法な勧誘範囲と実務上の留意点を解説
GK-TKスキームにおいて、匿名組合契約(TK)の持分を出資対象とする場合、その勧誘や募集行為には金融商品取引法上の規制が及びます。
特に重要なのが、第二種金融商品取引業の登録が必要な行為か否か、誰に対して勧誘できるのかという点です。
今回は、第二種金融商品取引業者がTK出資を取り扱うにあたっての基本的な制度設計と、実務で誤解されやすいポイントを解説します。
■ 匿名組合持分は「みなし有価証券」に該当する
金融商品取引法第2条第2項において、匿名組合契約に基づく持分のうち、事業成果に応じて分配を受ける権利は「みなし有価証券」とされ、私募または募集に該当する場合は、原則として第二種金融商品取引業の登録が必要です。
■ 誰が勧誘できるのか?──勧誘主体と業務範囲
勧誘主体 | 要件・許容される範囲 |
---|---|
SPC(GK)自身 | 自己募集であっても、勧誘人数が一定数を超えると金商法上の問題が生じうる。通常は外部業者に委託 |
第二種金融商品取引業者 | 他人の計算により有価証券の募集・私募の取扱いが可能(匿名組合契約も対象) |
第一種金商業者 | 原則として引受・売買も可能だが、GKTKでは通常関与しない |
第二種業者は、「私募の取扱い」が主業務であり、匿名組合契約の勧誘・媒介・契約締結代理行為を行うことが可能です。
■ 私募の定義と「49人ルール」
TK出資の募集・勧誘を「私募」として行う場合、次の条件を満たす必要があります。
- 勧誘先が50名未満であること(いわゆる49人ルール)
- またはすべての勧誘対象が適格機関投資家やプロ投資家等の限定された属性であること
※ 勧誘先は「1ファンドあたり」「1年間あたり」ではなく、1有価証券ごとにカウントされる点に注意が必要です。
■ 勧誘方法に関する制限
私募はあくまで特定かつ限定された者に対して行う勧誘であり、以下のような不特定多数に向けた手法は原則としてNGです。
- ホームページに広く告知(ログイン不要型)
- SNSやメルマガで不特定者に案内
- 「資料請求」フォームだけを設けたLP
※ こうした勧誘がなされると、「実質的に公募に該当」とされるおそれがあります。
■ 実務対応:第二種業者に委託する際のポイント
- 匿名組合契約書、説明書、適合性確認記録等は第二種業者が作成・保管責任を負う
- 勧誘行為をSPCや親会社が行う場合は、業務委託契約の整備・勧誘範囲の明確化が不可欠
- 投資家属性の確認(KYC)も、第二種業者の業務として義務付けられている
■ まとめ
GK-TKスキームにおいてTK出資を適法に私募するには、第二種金融商品取引業者による勧誘・契約取扱いが基本となります。
同時に、「勧誘の手段」「勧誘対象者の範囲」「人数制限」など、細かいルールへの配慮が不可欠です。
制度設計や契約スキームの誤りは、金融商品取引法違反に直結するリスクがあるため、ライセンスの有無・届出制度の利用可能性を踏まえた上で、専門家の助言のもと適正な運用が求められます。
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