関連当事者取引:不動産業における関連当事者取引のリスクと対策

2024/06/07その他

関連当事者取引:不動産業における関連当事者取引のリスクと対策

 不動産業界における関連当事者取引は、その取引自体の合理性や取引条件の妥当性の確保が求められます。関連当事者間の取引は、適正な価格設定や条件の管理が難しいため、特に注意が必要です。

 本コラムでは、不動産業における関連当事者取引に該当する可能性のある取引と、それらのリスク対策について解説します。

関連当事者取引に該当する可能性のある取引

  • 不動産売買・賃貸取引

関売買取引: 関連当事者間での不動産の売買取引は、その価格が市場価格と比較して適正であるかが問題となります。例えば、親会社と子会社、親族間などの売買で、不当に高いまたは低い価格で取引される可能性があります。

賃貸取引: 賃料が市場価格と比べて適正かどうかが重要です。関連当事者間で賃貸する場合、賃料の設定が不当に安く設定されると、利益移転が疑われます。

  • 管理業務委託

 不動産の管理業務を関連会社に委託する場合、その委託費用が適正かどうかが問題となります。過大な管理費を支払うことで利益を移転させる手法が考えられます。

  • 建設・リフォーム契約

 関連当事者との間で建設やリフォームの契約を結ぶ場合、その契約金額が市場価格と比較して適正かどうかが問題となります。不当に高額な請負契約を結ぶことで利益移転が行われるリスクがあります。

  • 資金の貸借取引

 関連当事者間での資金の貸し借りについても注意が必要です。無利子や低利率での貸付が行われる場合、それが市場での通常の金利と比べて適正かどうかを確認する必要があります。

  • 担保設定・保証

 不動産を担保に関連当事者間での保証や担保設定を行う場合、その条件が市場での通常の条件と比べて適正かどうかを確認する必要があります。不当に高い担保価値を設定することでリスクを回避する可能性があります。

リスク対策

  • 市場価格の比較

 不動産取引や賃貸取引では、市場価格と比較することが重要です。第三者による鑑定評価書を取得し、取引価格や賃料が市場価格と適正に比較されていることを確認します。

  • 適正な契約書の作成

 関連当事者間の取引には、適正な契約書の作成が不可欠です。市場価格での取引が行われたことを証明する契約書を作成し、透明性を確保します。

  • 第三者評価の活用

 不動産管理業務や建設・リフォーム契約においては、第三者による評価を活用します。これにより、管理費用や契約金額の適正性を確認します。

  • 取引履歴の開示

 過去の類似取引の履歴や条件を示す資料を開示することで、取引の透明性を高めます。これにより、関連当事者取引の適正性を証明します。

  • 外部監査の実施

 関連当事者取引については、外部監査人による監査を実施します。監査報告書を通じて、取引の適正性を確認し、不正な取引が行われていないことを証明します。 

まとめ

 不動産業界において、関連当事者取引のリスクを適切に管理し、透明性を確保するために上記のような対策が不可欠となります。大切なことは、一般の取引条件と同様であることを証明することです。

企業はこれらの対策を実施することで、健全な経営を維持し、投資家や関係者からの信頼を得ることができます。

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